濱田被告が2008年ごろ開設していたホームページ(現在は削除済み、画像は一部加工しています)
このセミナーで、「大阪に“創造主”がいる。大天使ガブリエルのカウンセリングを受けてみたらどうか」と寺崎被告を誘ったのが、滝谷被告だった。そしてこの「創造主」「大天使ガブリエル」というのが、濱田被告だった。
寺崎被告は電話カウンセリングで「そんなに心配しなくて大丈夫」、「神様が何とかしてくれる」といった言葉を受けたという。そして、濱田被告と対面で行われたカウンセリングについて、当時の感動を思い出すようにこう振り返るのだ。
寺崎被告「“創造主(濱田被告)”にお会いして、瞬間的に“魂の父”だと…。父(濱田被告)が『やっと会えたな本当の娘』と抱いてくれて、私は涙を流しました。本当に神がいるんだと」
一方、滝谷被告は、濱田被告と出会った際の様子について「パワフル、ユニークで、吸引力があって魅力があった」と表現した。傾倒したのは、次のような経緯だったという。
滝谷被告「今でもトリックはわからないが、(濱田被告を)神と思ったのは霊能力みたいなもの……まるでホラー映画のワンシーンのような、恐ろしいことが起きて。それで、やっぱり神様なんだ、逆らったら何が起きるかわからないと思った」
経緯は異なれど、2人とも徐々に濱田被告の心理的な支配下に入っていく。そこからの生活はさらに特異なものであった。
反抗すると「財産を置いて帰れ」
滝谷被告によると、濱田被告は「信者同志で結婚する指示、そしてそれらを解消する指示」などを出していたという。住居についても住む場所を指示し、反抗しない人物ばかりが近くに集まるようになった。反抗した信者は「財産を置いて東京へ帰れ」と指示されていたという。
家族への連絡も許されておらず、「肉体の家族より、精神の家族の方が上」として、濱田被告との関係性を重視させた。
滝谷被告によって、当時の様子が具体的に語られる。
弁護人「濱田被告からは、どんな指示があったのですか?」
滝谷被告「濱田被告の周りにいるメンバーは、誰と結婚しろなど指示をされて、ある日にはいきなりそれを解消しろと言われたりで、関係性を決められていました」
弁護人「それらに際し、信者の心情は考慮されてたのですか?」
滝谷被告「無視されてました。濱田被告からは、『(指示の理由は)神しか知らない』と絶対命令でした」
濱田被告の指示はもちろん異常なものであるが、指示通り動く信者の濱田被告への心酔の様子にも驚かされる。
人間関係など選択肢を制限することで、徐々に思考の制限をする。「神には『ハイ』としか言えない」とも表現した。不合理を感じる様子を見せると、濱田被告からは叱責され、暴力でコントロールされた。滝谷被告も暴力を受けることもあったが、徐々に従うことしかできない思いに変わっていったという。