送検時の濱田淑恵被告
離脱してもなお続く濱田被告への恐怖
強い支配を受けていた滝谷被告であるが、Aさん、Bさんが亡くなった今回の事件を境に、時間をかけて離脱したと供述する。
反抗心を見せた際は、馬乗りになって40分ほど殴る蹴るの暴行を受けた。「神に背いているのに気付かないのか」などと長く叱責され、部屋に閉じ込められたこともあったが、最終的に濱田被告のもとから出ていくように指示された。
グループを抜けてもなお洗脳は続いており、「とんでもない目に遭うのではないか」と、濱田被告に怯えながらの生活が続いた。実家に帰っていたが、常軌を逸した話を聞かせるのも恐ろしいと、周囲に話せずにいた。しかし、カルト救済を専門とする弁護士の情報を見て、これまでの環境に当てはまることが多いことに気付き、また事件発覚後に警察と話すことによって徐々に洗脳が解けたという。
弁護人「事件を通じて何か言いたいことはありますか?」
滝谷被告「とんでもない人間の指示通りに動いてしまい、ご遺族はじめ関係者全てが不幸になりました。なんという集団にいたのかと…」
弁護人「(行為をその集団にいたことによる)言い訳にしていませんか?」
滝谷被告「そもそも、私がとびついてしまったのが過ち、私の軽率さが原因です」
被告人両名によって、事件当日何が起きたか供述されていく。それらは、これまでの説明の通り複雑怪奇なものであると同時に、単純に悪意という言葉では表現しきれない底知れない恐ろしさを感じる内容であった。
(第3回につづく)
◆取材・文/普通(裁判ライター)