暑さが原因と思われるエアコン室外機故障が相次いだ(写真提供/イメージマート)
強い暑さなどで身体にたまった疲労から起きる「夏バテ」を、35度超が続いた2025年夏は初めて体験したという人も少なくない。疲れているのは人間だけでなく、日常生活に欠かせないエアコンなどの住宅設備、スマホや自動車も同様だったらしい。ライターの宮添優氏が、この夏、連日の高温によって起きた不具合の数々についてレポートする。
* * *
いつまでも35度超の気温が続いた2025年の夏。毎日どこかでゲリラ豪雨が発生し、竜巻ですらもはや珍しくなくなった。極端な気候によって建物が壊れたり人命がおびやかされるような被害も相次いだが、この連日の高温によって、じわじわと生活の不自由を引き起こす「被害」が出始めていた。
「その日は38度予想だというんで、朝から自宅で映画を見て過ごしていたんですが、突然、部屋が暑くなった。エアコンが動かなくなったんです。その部屋はとても日当たりがよく、30分もしないうちに温度計が35度を超えました。日当たりの良さがアダになるとは」
東京都内、8月のある休日の真っ昼間、会社員宅のエアコンが突如壊れた。広めのワンルーム一人暮らしには十分といえるレベルの、しかも2年前に20万円弱で購入したばかりの国産メーカー品だったため、思わず頭を抱えてしまったという。
「割と奮発して買ったつもりだったんで、ショックですよ。エアコン故障で部屋は蒸し風呂状態になり、暑いし汗が止まらない。シャワーを浴びたところで部屋の暑さは変わらないし、どうにもならない。だからといってホテルに泊まるほどの金もありません。すぐには直らないだろうと思い、一旦、東海地方にある実家に避難しました。汗だくで準備を終えて部屋を出る際、温度計を見たら43度でした」(都内在住の会社員)
さらに彼を悲劇が襲う。
「暑さのせいで室外機の故障が多く、修理の順番待ちになっていると言われ愕然としました。仕方なく、修理が終わるまでの一週間ほど、会社まで2時間半以上かかる実家から通勤していました。故障の原因はやはり室外機で、日光で高温になったことが原因でした。エアコン本体には問題なく、室外機の部品交換で済みましたが、それでもかなり時間がかかってしまいました」(都内在住の会社員)