なぎらさんが“オトナの味”に出会った思い出とは…?

若者の酒離れは「子供の舌のままだから」

 冒頭に酒場歩きを始めて40年と書いたけれど、なぎらさんは私の11年先輩だから、すでに半世紀以上飲んでいる。

「最初に飲んだのはいつかと訊かれたら、20歳になったその日から、と答えることにしているけれど、まあ、それはいいや。アタシの友だちの話をしようか。そいつのウチはパン屋で、両親も交代で店番をするから夕食はばらばらなんだ。あるとき、ふたりで晩御飯を食べたんだけど、そいつの前にお銚子が置いてあるから、そこ、お父さんの座る場所だろって言ったら、いいんだと。これはオレのなんだと。だって、おつまみもあるじゃん、って言ったら、晩酌用だよって。まだ15歳だよ。そこのお母さんが言うには、外で飲んでなんかあっちゃいけないから、こうして1日1本つけるからウチでおやんなさいと。すごいヤツがいたよ。アタシはさすがに15歳から晩酌はしてないけど、それでも、大人が何を飲んでいるのかについては、興味があったな」

 その昔、酒を試すにも、今のようにたくさんの選択肢はなかった。ビール、日本酒、ウイスキーのどれかから、酒の第一歩は始まったという。

「最初に日本酒を飲んだ時、うまいと思ったわけじゃない。ビールも、ウイスキーも同じ。ジンと、ジンを割るためのコーディアルのライムジュースを買ってきて混ぜて飲んだことあるけど、どれくらいの分量で割ったらいいか知らないから、妙に酸っぱいジンライムになっちゃって、ガマンしてがぶ飲みして、悪酔いしたこともあるね。あれも、うまいものじゃなかった。ただ、日本酒にしてもビールにしても、飲んでポヤンとした感覚になるのがおもしろかった。タバコも同じだね。うまいなあ、と思ったわけじゃない。ただ、オトナの嗜好品を自分も試してみたいと思ってやってみると、酒ならポヤンとした気分になるし、タバコも慣れてくるとクセになる。やめられなくなる。そんなところでしょう。でも、今の若い人たちのように、甘いジュースみたいなアルコール飲料を最初に飲んでしまうと、それしか飲めなくなるということはあると思うよ。若者の酒離れというのは、舌が子供の舌のままだからオトナの味がおいしくないんだよ。子供の舌では、ビールも日本酒も飲めない」

 実は学生時代の私にもジンライム体験がある。ジンとコーディアルライムを買ってきて、ロックグラスに氷と一緒に入れて、こいつはトロピカルであるなとちびちび昼下がりから飲みだしたところ、何杯飲んだものか、気が付けば日はとっぷり暮れていた。うまいもまずいもない。昏倒していたのだ。故郷から缶詰がたくさん送られて来たという友人の下宿に二級酒を1升ぶらさげて出かけたときは、互いに湯呑みでぐびぐび飲むうち、たちまち酔って気が付けばやはり眠りこんでいた。うまいも、まずいもなかったし、そもそも私は、酒が弱かった。

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