現役時代の江夏豊氏(右)、田淵幸一氏
セ・リーグの覇者としてCS、そして2年ぶりの日本一へと挑む阪神。その戦いをレジェンドOBはどう見つめるのか。江夏豊氏(77)、田淵幸一氏(78)の「黄金バッテリー」が緊急対談。現役時代の思い出、タイガースへの感謝の思い、未来のタイガースへ期待することを語り尽くした。【前後編の後編。前編から読む】
田淵:今のピッチャーはとにかく球種が豊富。そういえば豊って球種はまっすぐと、カーブはあったっけ? ないよな。
江夏:カーブはあった。
田淵:どんなカーブ?
江夏:ちょっと曲がるっていうやつ(笑)。
田淵:あれはカーブと言わねえんだよ。しょんべんカーブって言うんだよ。それでも年間四百何個の三振を取ったんだから。カーブは駄目、フォーク駄目、チェンジアップは駄目、駄目駄目なボールばかりでよく抑えたよ。
江夏:ストレートしか放れなかったからな。
田淵:俺たち2人とも、ONを倒すためだけに巨人戦を頑張ったんだから。
江夏:ONどちらかが欠けてたら9連覇は絶対になかったな。
田淵:ない、ない、ない。あるわけない。柴田(勲)、土井(正三)、ON、高田(繁)、今の阪神じゃないけど固定されていたのが強み。
江夏:東のON、西の黄金バッテリーで戦った。まあ、俺たち2人は面白い関係だよな。入った時から終わりまで一緒なんだから。絵に描いたようなストーリーというか、誰かに流れを作られているような野球人生だからな。別に我々が作ったんじゃない。我々は乗せられただけだから。
田淵:そうだよな、同じ時に辞めたからな。
江夏:そう。入ったのも……入ったのは違うか。