2020年6月、4人がクロスボウで撃たれた兵庫県宝塚市の現場付近を調べる捜査員(共同通信)
その結果、被告人は祖母の家に住むことになった。しかししばらくして弟も「自分の部屋が欲しい」と祖母の家に来た。母も来たときは、「来るなよ」思った。
高校に入り、問題は起こさなかったがパチンコ、ボーリングなどで遊び、成績は下の方だった。親へ暴力は振るわなかったが不満、ストレスを抱え続けた。大学に合格し、2年生のときに法律関係の仕事に就くか警察官になりたいと思い、法学部へ転学した。
同じく大学2年生のとき、元々住んでいた団地が新しくなったとして、母親と弟が引っ越すことになった。その後、弟が母親に暴力を振るった結果、母親がシェルターに行ったと聞いた。
「母親ごっこをする女の子」
被告人にとって、母親は特にストレスの原因だと感じていたようで、陳述には多くの時間が費やされた。
母親は人からの見られ方をとても気にしていたという。周囲にはシングルマザーとしてしっかりしていると見せていたが、被告人自身は愛情を受けていないと感じており、自分ら子どものことを「頑張っていることを示す道具」としか思っていないのでは、と感じていた。他にも「母から教わったことはない」、「母親ごっこをする女の子」とも表現されていた。
そんな家族関係のストレスもあってか、中学生時から被告人は強迫性洗浄障害と診断されたという。何度も手を洗い、トイレには1~2時間こもる。それにさらにストレスもたまり、中学生時に自殺を考える。しかし、自殺しても母は何も感じないどころか、自分の良いようにあれこれ言うだろうと考え、それならば前向きに生きようという思いに転じた。