国内
クロスボウ殺人・野津被告公判

「母と弟がベロを舐め合う」「カップ麺の上に白米を乗せたごはん」母・弟・祖母を自宅で惨殺した野津英滉被告(28)が語った“家庭環境”と“絶望”【クロスボウ殺人・公判】

兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)

兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)

 2020年6月に兵庫県宝塚市の住宅においてボーガン(クロスボウ)を撃ち、自らの母、祖母、弟の3人を殺害し、家に訪れた叔母1人にも重傷を負わせた野津英滉被告(28)。その裁判員裁判の第2回公判が9月30日、神戸地裁(松田道別裁判長)で開かれた。

「死刑になるために」一家を惨殺したという野津被告。唯一生き残った叔母の証言では、被告が家族に不満を募らせていたこと、冷静にクロスボウで家族3人を射抜いた壮絶な犯行現場が明らかにされた。

 その後、弁護人から読み上げられた被告人の陳述内容は、「複雑すぎる家庭環境」を主張するものだった——裁判ライターの普通氏がレポートする。【全3回の第2回。第1回記事を読む

母と弟がイチャイチャとじゃれあうように…

 弁護側の証拠として、被告人の陳述内容が読み上げられた。これは、被告人が起訴される前に、弁護人に対して話した内容をまとめたものだ。事件から5年経っているが、陳述内容からは当時の様子がありありと伝わってきた。

 まずは、被告人の家庭環境についての陳述だ。

 両親は、弟が生まれてすぐ離婚した。父が母に向かって「こっちの方が被害者だ」「こんな奴に子を育てられるか」などと親権を主張していたと、被告人は祖母から聞かされたという。

 被告人が小学生のときから、被告人、母、弟の3人暮らしだった。母から直接伝えられていなかったが、母は先天的なアスペルガー症候群・発達障害を持っていたと後から知ったのだという。被告人本人は小学生の頃に自閉症スペクトラムだと診断され、弟は多動性障害だった。弟が生まれてから、母は弟につきっきりだった。

 母と弟は、日常的にベロを舐め合ったり、同級生がイチャイチャとじゃれあうような関わりをしていた。食事はカップ麺の上に白米をのせたものなど、「小学生が思いつくようなもの」であったという。最初はそれが普通だと思っていたが、学校で同級生の弁当と見比べて「ちょっと違うな」と思うようになったという。

 被告人は弟のことを「いらんことしいのクソガキ」と表現した。弟は被告人の嫌がることをわざとし、自分のわがままが通るまで駄々をこねたという。

 母親は怒ると口を聞いてくれなかったり、物を壊したり、行先も告げずに家を出て外泊することがあった。中学生に入って、被告人の表現では「母の資質を疑った」「親としての資格がないのでは」などと思い、ストレスがたまり暴力を振るうようになる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン