「ダチョウ」はファンタジーの世界にたどり着いたのかも
人に頼れるのは他人を信頼しているからで、自分以外の人間の力を引き出すということかもしれない。
さらに肥後さんは、「頼る力」といっても最終的に決めるのは自分だとも言う。
「持ち上げられて急にハシゴをはずされるとか、さんざん痛い思いをしてきていますから。結局、やるのは自分だし、頼りっぱなしだと、手を離されたとき自分が倒れますからね」
コロナ禍の2022年にメンバーの上島竜兵さんが亡くなったとき、ダチョウ倶楽部として出したコメントが見事だった。仲間の死を悼みつつ、最後に「二人で、純烈のオーディションを受けます」と、ふっと肩の力が抜ける笑いにつなげたのだ。
「日本中、息が詰まるような思いをしていた時期で、ここでふっと空気を抜くのはぼくの役目かなって。『上島さん』がいいのか『竜ちゃん』がいいのか言葉を探り探り書いていたとき浮かんだのが『純烈』で、純烈さんにはご迷惑をおかけしました」
純烈のリーダー酒井一圭さんもXで温かく反応、肥後さんたちが純烈のコンサートに行ったときはファンの人にも歓迎してもらえた。
「ほっかむりして『私、竜ちゃんに似てるって言われるの』っていうファンの方がいたりして。ダチョウ倶楽部はファンタジーの世界にたどり着いたんですかね。純烈さんにもファンの方たちにも助けられました」
【プロフィール】
肥後克広/(ひご・かつひろ)1963年沖縄県生まれ。1985年「ダチョウ倶楽部」を結成。『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』(日本テレビ系)でブレーク。「聞いてないよォ」のギャグは「1993年新語・流行語大賞大衆部門銀賞」を受賞した。『ものまね王座決定戦』(フジテレビ系)、『志村けんのバカ殿様』(フジ系)、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)など人気番組に出演。役者として『ちむどんどん』(NHK)や『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)などのドラマや、現在公開中の映画『風のマジム』、10月17日公開の『牙狼 〈GARO〉 TAIGA』にも出演。
取材・構成/佐久間文子
※女性セブン2025年10月16・23日号