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肥後克広さん、人生を振り返る新書『頼る力』インタビュー「野球も人生も勝ったり負けたりしてるほうが面白いじゃないですか」

肥後克広さん/『頼る力』/小学館新書

肥後克広さん/『頼る力』/小学館新書

【著者インタビュー】肥後克広さん/『頼る力』/小学館新書/990円

【本の内容】
 浮き沈みの多い芸能界で約40年、お茶の間に愛され、周囲に頼りながら愛され続けてきた「ダチョウ倶楽部」リーダーの肥後さんが、初めて綴った新書。《勝ち続けるには、いつもトップを走り続けていなければいけないわけで、当然、不断の努力が必要です。(中略)「勝ち」にはたしかに達成感があるけれど、その達成感は一瞬です。/でも「負け」を認めたら、生きやすいですよね》など、至言が満載。笑えるエピソードをもとにした実践的な頼り方は、夫婦や親子の関係、会社の上司や部下との関係の改善にも役立つこと請け合い。

「ぼくはそうじゃない」という反発は一切なかった

 2023年に『女性セブン』に取材されるまで、肥後さんに「人に頼っている」意識はなかったそうだ。

「企画書に『頼り上手さんがやっている習慣(仮)』と書かれてて、え、ぼく、頼り上手なの?って思いました。先輩後輩の垣根を取っ払って芸人仲間と仲良くしてるとは思ってたけど、頼ってたのか?って。

 でもそれって、そう見えるって話じゃないですか。この人はしっかりしてそうとか、この人は頼ってばっかりとか、そう見られてるならその部分をより表に出そうみたいな芸人的発想はあって、『ぼくはそうじゃない』という反発みたいなのは一切なかったですね」

 取材はうまくいき、こうして書籍化されることになった。

 言うまでもなく肥後さんはお笑いグループ、ダチョウ倶楽部のリーダーである。グループの発足自体、先輩が企画したライブに出る約束を肥後さんが忘れていて他のメンバーに頼んで出てもらったのが始まりだから、そのころから「頼る力」は発揮されていたわけだ。

 今年8月に放映された『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「ダチョウ倶楽部を考えよう2025」でも、毒舌キャラで知られる霜降り明星の粗品さんが巻き込まれ、まんまとダチョウ倶楽部の団体芸に参加させられていた。

「あれは粗品がすごかっただけだけど、基本、ダチョウのギャグは全員参加型で、巻き込み型なんです」

 おなじみの「聞いてないよォ」をはじめ、「どうぞどうぞ!」「押すなよ!絶対に押すなよ!」「ヤー!!」「友だちで~き~た~♪」などなど、ヒットしたギャグは数多くあり、「ギャグ界のサザンオールスタ──ズ」と言われることもあるそうだ。

「『聞いてないよォ』が流行語の賞に選ばれて、それからギャグをつくらなきゃいけない感じになってしまったんだけど(笑い)、ダチョウ倶楽部は3人だから、3人で合わせることを考えると、どうしても団体芸になるんですよね。その場その場でウケようと考えてただけで、ぜんぶ後付けですけど、そう思います」

 ダチョウ倶楽部にモノマネされたアーティストの方たちが、あまり嫌がらず、時には一緒に舞台に立つことがあるのも、「参加型」の楽しさがあるからだろう。

『頼る力』は60歳を超えた肥後さんの自伝でもあり、芸人仲間や「キマい(奄美大島の方言でお転婆の意味)」お母さんとの思い出は抱腹絶倒である。

 昨今、話題のコンプライアンスにまつわる話も「頼る力」を通して読み解くと興味深い。あるとき肥後さんは、Netflixのコンプラ研修を受けた後輩の劇団ひとりさんからコンプラについて聞いたそうだ。

「それじゃあ現場で天気の話ぐらいしかできないじゃない、って言うと『それぐらいがちょうどいいんです』。言われてみたらそうかもしれないと思って。こないだ子役を仕切ってる若いADさんがいたから『ガキ大将みたいだな』って言おうとして、これってどうなんだろうと悩んだ末に言わなかった。街ブラロケでも『イップス』みたいになって口ごもってます(笑い)」

 でも仕方ないよ、時代が変わったんだから、若い人の言うことは聞かないと。だってじじいなんだもん、もう60ですからと肥後さん。

「若い人にはセンスも感覚もかなわないですよ。昭和はこうだったって言っても、いま令和なんだからギアチェンジしないとね。先輩後輩関係なく、人に嫌われたくないから人の言うことを聞くっていうのもありますね」

 グループのリーダーだが、メンバーに対してダメ出しをしたこともないそうだ。

「だってぼくがああしろこうしろって言ったって、できないものはできないですもん。できないなって思うとすぐ諦めちゃって、じゃあこういうやり方のほうがいいんじゃないかって考えるほうですね」

 本の中に「(ダチョウ倶楽部は)美しい負け方の追求ぶりは芸能界随一」という言葉が出てくる。

「負けることがマイナスではないという思いは最初からありました。勝ち続ける必要はない。プロレスでも野球でも、勝ったり負けたりしてるほうが面白いじゃないですか。あと、『聞いてないよォ』という負け芸が最初にあったから、必然的にそうなっていったのかもしれません」

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