祐子さんは「お父さんが生きているうちに花嫁姿を見せたい」と父の病室でフォトウェディングを行なった。後ろにいるのは母
──転機はなんだったのでしょう。
「父が60歳目前で若年性認知症になり、さらに母が66歳で乳がんにかかりました。その頃から、母は気持ちの浮き沈みが激しくなったんです。そして父は2020年に亡くなりました。
その後、母が軽い脳梗塞で入院したので私が実家に寄ると、とんでもないものが出てきたんです。『大変なことになっている』と青くなりました」
通帳の残額を見せるのを拒む母
──何があったのでしょう。
「ゴミ屋敷のような実家で目に入ったのが、『株譲渡希望申込書』という1枚の紙。その中の『9株/30万』という申込欄に丸がついていたんです。これはただ事じゃない、まずいと血の気が引きました」
──株式の購入申込書だったのですね。
「ええ。物品ならば形が残ります。でも投資は目に見えないから、とんでもない額の被害になる。今までとは全く違うと感じました。
母にいくら使ったのか聞きましたが、金額は一切言わず口をつぐむばかり。言えないほどの金額を使っていると思い、『それなら銀行口座を確認させて』と頼みましたが、自分のバッグを頑として触らせないんです。通帳も常に持ち歩くようになったので、残高はわからないままでした」