荒れた実家には、母が購入した「薬」(水)が大量にあった
父の遺産3000万が消えた理由
──祐子さんは何か手を打ったのですか。
「母の目を覚まさせようとB社について調べました。すると『社長が出資法違反と組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕』というニュース記事が出てきました。母にすぐ『B社は詐欺だよ』と電話したら、ありえないことを言いはじめたんです」
──どんなことを?
「母は社長の逮捕歴を知っていました。そのうえで『それの何が悪いの? あの逮捕は間違い。世の中が誤解しているだけ』と。母は完全に洗脳されていました。実はその社長は執行猶予がついたので、その後の講演活動で『あれは誤認逮捕』と武勇伝のように語っていたんです」
──結局、お母さんはB社にいくら使っていたのですか。
「未公開株だけで1550万円でした。でも、被害はそれで終わらなかったんです。母は勧誘者に誘われ、他のマルチもやっていました。
実家には父の遺産含め総額3000万円があったのですが、母はB社にお金をつぎ込み、自分の勧誘者にこのままだとお金が尽きてしまうと相談しました。すると『別のビジネスなら月100万ぐらい稼げる』と紹介されたんです。そこで残りの預貯金も巻き上げられ、3000万円がゼロになりました。
追い詰められた母は、家を抵当に入れて消費者金融で借金、その返済のためさらに借金。いよいよ首が回らず私と弟に泣きついてきて、ようやく私は被害金額を把握できたんです。最初にB社の株申込書を見つけてから2年、2023年のことです。結局、私と弟で母の借金525万円を立て替えることになりました」