母が顔に貼っていたシール。「ここぞというときの願いごと」に使うという
「痛いことが嫌いだった」母はカッターで手首を切った
──どんな電話が。
「『落ち着いて聞いてくださいね』と言うので、まさかと思いつつ『もしかして死んじゃいましたか』と言ったら『そうです』と。浴室で手首を切ったんです」
──それはショックでしたね。
「でも私、自分から『自殺ですか?』と聞いたんですよ。というのは、別れ際に『何もかも忘れて眠りたい』と言っていて。それがなにかひっかかっていて、また様子を見に行かなきゃと思っていたんですね。
私が甘かったんです。母は痛いことが大嫌いだったので、まさか手首を切るとは思わなくて。定期的にデイサービスも行き、ヘルパーさんも来ているし、そういう心配はないとタカをくくっていて。本当に、大間違いでした」
──鬱から快復していたのでは?
「母は薬を処方通りに飲んでいませんでした。部屋には未開封の抗うつ剤が大量に残っていて。一方で、眠剤を大量に飲み手首を切ったんです。これも私が甘かった。一人暮らしの母がちゃんと服薬できているか、チェックすべきでした」