「『お母さん、死んで楽になれたの? あなたがしたかったのはこれだったの?』と、私の気持ちは止まったままです」と祐子さん
洗脳が解けた母はひたすら自分を責めた
──でもこれまで、祐子さんはお母さんのことをさまざまな面でサポートしてきましたよね。
「振り返ると、私自身がちょっといい気になっていました。マルチ被害の裁判では、全員がお金を取り戻せるわけじゃありません。でもそれが実現できたし、実家も売らずに済んだ。あとは年金を上手に使えば大丈夫だろうと、母の心のケアを後回しにしていたんです」
──お母さんは何に一番苦しんでいたのでしょう。
「母はB社の洗脳状態から抜けると、今まで周りにいた人たちがお金目当てだったことに気づいたんです。そのことにひどく傷ついていました。
それに加え、裁判の過程でB社側から『購入の強要はしていない、自分の意思で買ったんだろう』『あなたは会社を応援するために自分から株主になったのに、今度は会社が信じられない、返金しろと言うのか』とさんざん非難されました。それがナイフのように母をえぐり、自責の念を募らせていたんです。私はそれに気づけませんでした」