「公明離脱で追い詰められる自民」を書き立てる大新聞
それと同時に、迷惑なインバウンド観光客への対応、不法滞在外国人の強制送還などを矢継ぎ早に打ち出すと見る。
「自民党税調や財務省との戦いで無党派層を取り込んだうえで、違法な外国人への規制を強化すれば、『日本人ファースト』を掲げて参院選で大躍進した参政党の票も奪うことができる。具体的には、岩屋毅・外相が進めた中国人向け短期ビザ要件の緩和の取り消しなどです。公明党が連立離脱したことでそうした政策が打ち出しやすくなった。その選挙戦術が成功すれば、高市自民は次の総選挙で単独過半数回復も視野に入る。政策ごとに支持を得られると思われる票を積み上げると自民240超えの大勝もあり得ないことではない」(同前)
そう見ると、高市氏が自ら首相になって解散を打つか、あるいは玉木雄一郎・首相が解散・総選挙に踏み切るかはともかく、高市氏が次の総選挙を起死回生のチャンスと見て準備を始めたことは間違いなさそうだ。
もっとも、排外主義的な主張を掲げて票集めに走ることは対立と分断を煽って人権問題にもつながるし、外交面での負の影響も計り知れない。
小泉郵政解散で300議席近くを得て大勝利した自民党は、次の2009年総選挙では177議席を失い、野党に転落した。
たとえ高市氏が有権者に1度だけ通用する「劇場型選挙」に持ち込んで勝てたとしても、自民党の体質を抜本的に改革し、国民の信頼を回復しない限り、自民党の真の再生はないはずだ。
(第1回から読む)
※週刊ポスト2025年10月31日号