極端にいい時がある
ブルペンの惨状を考えれば、佐々木は2年連続世界一に向けた最大のキーマンかもしれない。
より大きな期待に応えるためには課題もある。
フィリーズ戦での快投ののち、10月14日のナ・リーグ優勝決定シリーズの対ブルワーズ初戦で2点リードの9回裏に登板した佐々木は2四球、1安打を許して1失点。ゲームを締められなかった。
前出・佐藤氏が言う。
「佐々木の難点は、制球がいい時と悪い時が極端なこと。投げるバランスが良ければストライクが入るし、バランスが崩れるとボールばかり続く。1イニングなら打たれないというのは、ストライクさえ入ればという条件付きの話です。短いイニングの登板だから思い切ってバッターを攻めていき、ホームベースの上で勝負してほしい」
メジャーの頂点に手が届くところまで来てなお、“未完の大器”であることも佐々木の魅力だろう。前出・権藤氏が言う。
「まだまだ馬力、体力がないから、これからですよ。大谷は年々たくましさを増してあれだけの選手になったが、佐々木は故障をしないで1年間投げ続けることができるかが問題。そこができてくれば、本当に凄いピッチャーになりますよ」
海を渡った“令和の怪物”は、苦しんだシーズンの末に最後に大きな仕事をするのか。世界一へはここから本番の戦いだ。
※週刊ポスト2025年10月31日号