Aからの手紙。「まさか殺されていたとは夢にも思いませんでした」という言葉が
「連絡先も消して」
しかし、これに異を唱えるのが、当のAである。事件当時は別の事件で指名手配中だったAはのちに逮捕されており、中田受刑者の裁判当時、Aの身柄は関西の拘置所にあった。判決後に「脅迫は本当にあったのか」と手紙を書き送ったところ、接見禁止が解けた今年2月以降、複数の返信が届いた。
中田受刑者の裁判において、事件のキーパーソンであるかのごとく扱われていたAは、筆者からの手紙を読むまで、里菜さんが亡くなっていることはおろか、中田受刑者が里菜さんの命を奪ったことも知らなかったと綴るのだ。
「まさか殺されていたとは夢にも思いませんでした」(Aからの手紙)
Aと里菜さんは事件の前月に交際を解消していた。口論によりAが別れを告げた格好であり、以降、Aは里菜さんに連絡をしていなかった。
本誌記者が里菜さんの母親から見せてもらった、里菜さんのスマホに残るAとのLINEトーク履歴にも、親密な時期を経て、Aが別れを切り出したやりとりが残っている。日付は事件が起きる1か月前の2022年2月13日午前である。ふたりで会う約束をしていたが、里菜さんがそれを断わったことから、Aが怒りに任せて別れを告げたという流れが確認できる。里菜さんはAからのLINEにこう返信していた。
〈りなの泣き言とか聞きたくないんやったら もっと年上の女性と次は楽しんでください〉
〈りなの連絡先も消して好きにして。〉
以降、やり取りは途絶えた。念のためにトークを遡り、親密な時期のメッセージを確認しても、中田受刑者を脅迫する謀議と取れるやり取りはどこにも見当たらなかった。そして事件後である2022年4月ごろ、Aは里菜さんにLINEを送っている。
「あの時は言い過ぎたなぁ、なんて思って『元気してる?』と呑気なLINEを里菜さんに送っています。既読がつかないのを見て、ブロックされてるかぁ、そらそうかぁ、なんて思っていました」(Aからの手紙)
里菜さんのスマホは死亡による料金未納で、この時期は使用不能になっており、メッセージが届くことはなかった。