50代になったはるな
世界を目指す背景にある「野望」
──今後やりたいことは。
やっぱり歌が好きやから、もっと世界のステージで歌いたい。
私は2009年、タイで開催された「ミス・インターナショナル・クイーン」で優勝した時、ネパールの方が泣いているのを見たんです。「タイにはこんなにトランスジェンダーが集まって自己表現をしているけど、自国に帰ったら石を投げられる」と……。その時に、もっともっと世界で活躍したいと強く思ったんです。
──自分の居場所を世界へ広げていきたいと思う、原動力は何ですか。
私が全国区の番組に出させてもらっている時、「うちのおじいちゃんは、男として生まれてても、はるな愛ちゃんは可愛いって言うんです」とか、「はるな愛ちゃんに元気をもらった」といったお便りをたくさんもらったんです。
私がテレビに出始めた頃、ニューハーフなんて使うなとか、ゴールデン番組は無理だとか、いろいろ言われたけど、少しずつでも社会は動かせるんだと実感しました。そういう声を受け取ってから、「はるな愛」という存在は、どこかに孤立させてはいけないなという考えが強くなりました。
「はるな愛」の姿を見て、世の中には女の子になりたい男の子がいるんだよっていうことを、まずはお茶の間で話してもらう。そうすることで、わかってくれる人が増える。それこそが私の存在意義だと思っています。
だから、世界にも苦しんでいる環境の人がいるなら、私がもっと活躍することで、それまでのものの見方や考え方を変えるヒントになったら……という願いがあります。「はるな愛を見て考えが変わった」という人が増えていって、そういう人たちがまた活躍して……そういう循環をつくりたいという野望が、今、世界に行きたいいちばんの理由です。
