本名は大西賢示
死ぬ時は「大西賢示」
──実際にアメリカでのライブイベントに立つなど、50代を迎えて、ますます活動の場を広げていますね。
20代はノリノリでいろんな出会いと別れがあって、30代はタレントとしてあれよあれよとステージが変わっていった。40代で東日本大震災を体験して、自分がしないといけないことが明確に見えた。50代は、誰かに寄り添える活動ができたらという思いがますます強くなってるのかな。もうね、やりたいことが山ほどあるの。
よく言うでしょ、「今日がいちばん若い」って。その時にできること、その時のパッションを大切にしたい。そして死ぬ時に本名で、「大西賢示の人生最高や! ありがとう!」と言って目を閉じたいんです。
これからも私は、いろんな岐路に立つと思う。答えを出さないといけない時もあると思う。でも、最後に「大西賢示、最高やった」と思える答えを導こうと思っていて、そこに迷いはありません。
──死ぬ時は「大西賢示」なんですね。
ずっと、「私」という本体は大西賢示です。「はるな愛」と大西賢示は共存関係で、はるな愛は表現する時の器。だから、戸籍も大西賢示のままなんです。
──今の子供たちが「最高の人生だった」と言えるようにするために、大切なことは。
選択肢は無限で、情報だけは無数にあるけど、あなたはあなた。“誰かのように”生きる、という目標の立て方は絶対しないでほしいなと思います。いろんな意見を参考にしながら、自分だけの人生を切り拓いてほしい。その時にたどった道のりは、必ず最高の宝物になるので。
──でも、“自分らしさ”を見つけるのも難しいというか……。
自分らしさって、つまり自分が好きなこと、やりたいことだと思っていいと思います。好きなことを少しだけ深堀りしたり、ちょっと幅を広げたりしてみる。そこで新たな人と出会って、その人に育ててもらって、自分なりにもっとその世界を覗いてみたくなって、失敗もして……という連続が、人生をつくるんだと思う。
私も上京して、うまくいかない時期もありました。でも、手の届くところにきっかけはあったんですよ。それをつかめたのは、自分が目指す環境に近づいて、身を置いてみたからだと断言できます。闇雲でも自分が動かないと始まらない。
よく、性転換は後戻りできないっていわれるけど、人生は全部片道切符じゃん。誰にとっても時間が戻ってこないことだけは平等でしょ?
(了。第1回から読む)
