ビジネス

《葛飾区の南北移動問題に新展開》縦断する貨物線に路面電車を走らせるのではなく”バスでの旅客化”を目指すことになった理由

新金貨物線を走る貨物列車(撮影:小川裕夫)

新金貨物線を走る貨物列車(撮影:小川裕夫)

 鉄道網が発達している東京だが、東西に比べて南北への移動がしづらいと言われている。そのうちのひとつ、50年以上前から旅客運行の要望が出ている葛飾区の金町駅と小岩駅を結ぶ「南北移動」問題の解決にBRT(バス・ラピッド・トランジット、バス高速輸送システム)整備の方針を区が公にした。ライターの小川裕夫氏が、葛飾区の南北移動問題解決に貨物線の線路ではなくバス活用を優先することになった理由、線路の活用は消滅したのかについてレポートする。

 * * *
 東京都葛飾区は長らく総武本線貨物支線(通称:新金貨物線)をLRT(ライト・レール・トランジット)転用したうえで旅客化することを検討してきたが、9月の区議会で同計画をBRTで整備する方針であることを上程した。

 新金貨物線は新小岩駅―小岩駅―金町駅間を結ぶ約8.9キロメートルの路線で、葛飾区が旅客化を検討していたのは、そのうちの新小岩駅―金町駅間だった。

 同区間を走る貨物列車は1日に約9本と少なく、有効活用されているとは言い難い。また、新金貨物線は全線が単線だが、新小岩駅―金町駅間には将来的に複線化するための用地が確保されている。

「葛飾区は長らく新金貨物線の旅客化を議論してきましたが、おおよそ3パターンで検討をしてきました。その3パターンとは、1:既存の新金貨物線の線路を使って路面電車を走らせる。2:複線用地に線路を敷設して路面電車を走らせる。3:複線化用地にバス専用道を整備してBRTとして運行する、3つです」と説明するのは葛飾区交通政策課新金線旅客化の担当者だ。

新路線候補のLRTとBRT

 LRTとは次世代型と呼ばれる新型路面電車で、その定義は明確になっていないが、スマホやIC乗車券などを活用して乗降時間を短縮することでスピードアップを図り、長編成の車両を用いることで輸送力を増やした路面電車のことで、最近では2023年8月に栃木県宇都宮市・芳賀町で新規開業した。

 BRTは路線バスを進化させたシステムで、連節バスによる大量輸送を可能にし、バス専用レーンを整備やバスが走っている道路側の信号を優先的に青へと切り替えるバス車両優先システムを導入することで定時性を確保したバスのことを言う。

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン