AIが予測「クマ遭遇地形が丸わかり」【札幌】
その予測精度について深澤氏はこう言う。
「マップでは『●』のグラデーションで示したAI予測のほかに、直近3か月の遭遇地点を『×』で示しています。2021~2022年度の秋田県内のツキノワグマ遭遇情報をもとにAIに学習させ、秋田県の2023年度の遭遇のケースと照合。すると、AIが『遭遇する』と予測したエリアで実際に遭遇が発生していた割合が6割を超えました」
現在、深澤氏はクマの遭遇情報を公開している全国18自治体についてAI予測マップを作成・公開している。
AI予測マップから何が見えてきたのか。
「(マップの)色が薄い箇所から濃い箇所に向かって遭遇確率が上がっていくわけですが、クマは主食のドングリが実るブナなど落葉樹が多いエリアのほか、川沿いなどの湿地、山間の道路で遭遇していることがわかります。特にマップで遭遇確率が高いのは、山と川に挟まれた住宅周辺であることがわかります」(深澤氏)
AIが学習したデータには前述の通り人口密度や高齢化率などが含まれるが、「過疎化」は重要なキーワードだ。前出・小池氏はこう指摘する。
「森に接しているような農山村は、家の庭に柿や栗が実っていることが多い。それらが収穫されず放置されていると、誘因物となり、クマが森から出てくるのです。過疎化で人の気配が少ないため、クマにとって過ごしやすい場所になっている」
後編記事《【クマ遭遇AI予測マップ】秋田は「危険エリアが広範囲」、札幌は「山沿いの市街地エリアに集中」、東京西部にも危険エリア…市街地で出没事例の近くに川が多い理由》では、秋田県、北海道札幌市、東京都の「クマ遭遇AI予測マップ」の詳細を細かく分析する。
※週刊ポスト2025年11月28日・12月5日号
