高市早苗首相の「台湾有事」発言を受けて、抗議活動をする人々(2025年11月21日撮影、ABACA PRESS/時事通信フォト)
中国側もトーンダウンも
そうしたなか、中国側も若干トーンダウンしてきたような印象もある。21日には「日本はすでに代償を支払った」と題した記事が注目を集めた。ウェイボー上では、「日本はすでに代償を支払った」とのハッシュタグは1.4億回閲覧され、トレンド1位になるまで拡散された。記事中では遼寧大学日本研究センターの陳洋客員研究員が以下の2つの可能性があると指摘した。
1つは、発言の撤回まではできないとしても、外交の場で間違った発言をトーンダウンさせ、外務省などの専門部署が火消しを行い危機の拡大を避けるというパターン。
もう1つは、高市首相が国内外の批判を無視し、挑発的な言動を取り続けるというパターンだという。この場合、支持率は下落し短命に終わるだろうと陳氏は予測している。
筆者が取材した上海在住の日本人駐在員は、動向は注視しているとしつつも、冷静な見方をしている人がほとんどだと語る。
「今のところ特に影響はありません。ここ数年、半年おきぐらいに揉めているので、現地の中国人にとってはまたかという感じ。
ただ、日本企業のなかには中国離れが加速するとは思うので、動向に注意はしています。盛り上がっているのはメディアとSNSが中心。現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんどです」
日本側は今のところ静観を続けており、中国側の態度を煽るようなことはしていない。日中関係はどうなっていくのか、まだまだ予断を許さない状況である──。
取材・文/西谷格
