衆院予算委員会で高市早苗首相に「存立危機事態」について質問する立憲民主党の岡田克也元幹事長。11月7日、国会内(時事通信フォト)
もっとも、冷え込んだ日中関係を正常軌道に戻すのは容易ではない。自民党関係者は今後をこう不安視する。
「以前は二階俊博元幹事長や公明党といった親中派が与党内にいて、政府同士ではものごとが動かないときにパイプ役となっていた。二階氏も引退して公明党が連立から離脱した今、以前のようなパイプ役は不在。中国に対して強い態度をとりやすくなっており、保守層を意識した自民の議員らは盛り上がっている。一方で重鎮たちは、日中関係悪化の長期化は避けられないとみている」
経済的威圧を強める中国はどこまで強硬な措置を取ってくるのか。
「現状、日本への渡航自粛要請と日本産水産物の輸入停止はそれほどのインパクトはないようです。中国人観光客はガクッとは落ちておらず、日本の水産物業者は『チャイナリスク』に以前からたびたび直面しているので、すでに販路を北米市場などに拡大しています。
ステージが変わるのは中国がレアアースの輸出制限に踏み切る場合で、これをやられると日本の産業界に深刻な影響が出る。11月19日にトヨタ自動車の豊田章男会長が官邸を訪れて高市氏に面会しました。表向きは『自動車レースの報告』でしたが、『レアアースの話をしに行った』と官邸周辺はみています」(前出記者)
中国がレアアースの輸出制限や在留邦人の拘束などに踏み切れば、さらなる日中関係の悪化は避けられない。高市氏は自身で招いた難題にどう対処していくのだろうか。
