草刈正雄一覧

【草刈正雄】に関するニュースを集めたページです。

草刈正雄
井上順、草刈正雄、舘ひろし…「アラウンド70男性」の魅力を再発見
 井上順(74才)、草刈正雄(69才)……。まだまだ若さにあふれる“アラウンド70男性”は少なくない。コラムニストで放送作家の山田美保子さんが、その魅力を紹介する。 * * *若さの秘訣は明るい想い出を胸に楽しく暮らす「今日のお客様は“輝ける74才”このかたです」 10月14日の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)での黒柳徹子サン(88才)の紹介に、自身の大ヒット曲『お世話になりました』(1971年)を歌いながらタップダンスで登場したのは井上順サン。 1960年代、GSブームの雄「ザ・スパイダース」で、甘いルックスやコメディアン的なトーク、ギャグが超人気でした。『夜のヒットスタジオ』『夜のヒットスタジオDELUXE』(ともにフジテレビ系)をはじめ、歌番組の司会者としての印象も強いですし、俳優さんとしても多くの作品に出ていて、最近ではNHK連続テレビ小説『エール』と『おかえりモネ』に2年連続で出演。つまり“現役選手”でいらっしゃるワケですが、いや~、それにしても、お変わりにならない。若すぎます。 その秘密が『徹子?』で次々に明かされたのですから(普段は『バイキングMORE』〈フジテレビ系〉派ですが……)、一瞬たりとも聞き逃せず、リアルタイムで拝見しちゃいました。 まずは「Twitter」のお話。そうでした。順サンと言えば、1年半前から始めたTwitterで、あのデーブ・スペクターさんの上を行くかのようなダジャレの連発や、手料理の画像、タップダンスやヨガの動画などが大注目を集めていたのでした。 その内容は楽しいだけじゃなくて、とってもオシャレ。生ハムが豪勢にのったサラダプレートや、茹でたカボチャにクリームやレーズンを和えた一品など、渋谷生まれ、麻布龍土町育ちらしくグルメでオシャレな順サンならではのお料理なのです。カボチャの日は「カボチャン、ペ!!」とカトちゃん(加藤茶サン・78才)のイラストが描かれた色紙と共にアップ。朝5時に起きて、頭がクリアなうちに、Twitterに何を上げるのか知恵を絞るのは、脳トレになりそうですよね。 ちなみに、スマホ初心者のカトちゃんには生存確認も含め、毎朝、LINEのやり方を伝授しているそうです。  続いて驚いたのは、記憶力が抜群であること。30年前、徹子サンと同じ事務所だったという順サンが、当時のことを徹子サン以上に細かいディテール付きで次々お話しされる様子にも心から驚かされました。 このたび、Twitterを基に初のフォトエッセイ『グッモー!』(PARCO出版)を上梓された順サンは、初めてご家族のことも本の中で明かされています。 おじいさまは渋谷の代々木公園前で馬場を経営され、日本で初めて競走馬を輸入されたかたなのだとか。順サンのお父様は馬場専属の獣医師さんで、それを言うにも「日本で10番目に位置する」=10医=獣医……と、わかりづらいダジャレで徹子サンをキョトンとさせる場面もありました。 ご家族のことを振り返ると「5人(ご両親とお姉様とお兄様)で笑っているシーンばかり思い出す」と。 もちろんつらいこともおありだったでしょうが、それに引っ張られることなく、明るい想い出を胸に楽しく暮らす。これが若さの秘訣なんですね。 さらには、30才ほど年下の女性との交際が続いていて、「彼女に教わることは大きい」と素直に述べる順サン。 昨今、順サンと同年代かそれ以上のスーツ姿の男性の姿を見たり、演説を聴いたりする機会が多く、いろいろな意味でゲンナリしていたところなのですが、順サンの柔軟さと若々しさと、どんな年代の女性もリスペクトされる様子に、心から元気をいただきました。だって順サン、親友・カトちゃんの妻、加藤綾菜サン(33才)のことも絶賛されていましたから。本当に素晴らしい74才。コロナ禍で、すっかりなくしてしまっていた異性に対するトキメキやドキドキを久々に思い出させていただきました。 こうした気持ち、本当に大切なのだと痛感しているところです。マスクは確実にわれわれから表情を奪ったし、お友達との会食や、“推し”のコンサートに出かけられないことなどは、ウキウキする想いを奪っていったものです。たとえ行けても、“黙食”だとか、声を出さない応援などはストレスがたまりますよね。 ならば私が『徹子の部屋』の順サンに元気とワクワクをちょうだいしたように、その昔、憧れていた“アラウンド70男性”にトキメいて、若さを取り戻すというのは、いかがでしょうか。優しさとセクシーさと爽やかさにヤラれた 実は私、最近、草刈正雄サン(69才)に夢中なんです! ここ数年、何度目かのブームを迎えていらっしゃる草刈サン。若き日の資生堂のCMとお変わりにならないと言えば嘘になってしまいますが、元祖トップモデルさんならではの長身とスタイルのよさはそのまま。そして、あの声と優しい笑みにグッときちゃいます。特にアフターライフレジデンス(都市型納骨堂)『南麻布 了聞』のCMでの夫婦の会話! あれは若いかたにはわからないでしょうね?。「なんか、うまいものでも食っていこうか」……、あの声で言われたいです。 CMでいうと、『味の素』の睡眠サポートサプリメント「グリナ」の新キャラクターに就任した舘ひろしサン(71才)。「睡眠、どう?」と尋ねる声や表情も素敵ですが、シルクのパジャマ姿がセクシーでしびれます。「(武井)咲の生まれ年だね」の『ハズキルーペ』にもヤラれましたが(笑い)。 同じくCMでは、『サントリーウエルネス』のサプリメント「オメガエイド」に、爽やかなブルーのボタンダウンのシャツにクルーネックのセーター姿で記憶力テストに興じる三浦友和サン(69才)が出演中。ご長男の三浦祐太朗サン(37才)の妻・牧野由依サン(35才)が第1子妊娠を発表し、ついに「おじいちゃん」になりますが、いまだに爽やかなイメージ。衣装とはいえ、アラ70男性には若々しいファッションが大切なんだなと思いました。 ドラマでは、『正義の天秤』(NHK)に出演中(現在は回想シーンばかりですが)の中村雅俊サン(70才)は、やはり、若々しいし現役感にあふれています。 2017年、脚本の岡田惠和さんに惹かれて観に行った舞台『ミッドナイト・イン・バリ~?史上最悪の結婚前夜~』で、客席に雅俊サンお目当てのファンの皆さんが熱視線と歓声を送っていらっしゃるのを目の当たりにし、雅俊サンが現役感いっぱいである理由がよくわかりました。 そして、女性ファンの存在というのは大きいです。もうおひとり、私はこの10年ほど、中原丈雄サン(70才)が大好きで(画面上で)追いかけています。BS含め、NHKへの出演が多く、連続テレビ小説にも多数ご出演。『おひさま』『花子とアン』『なつぞら』での中原サンは素敵でしたよね。そして2022年前期の『ちむどんどん』でも会えることが発表されました。地元の銘酒「球磨焼酎大使」を務めていらしたり、グルメでもいらっしゃる。バンドを組んでいらして定期的にライブを開催されているんです。『山崎製パン』のCMにもキュン。レーズンパンを一緒に食べたいです。 アラウンド70男性にトキメいていろいろなことを取り戻すという術。『女性セブン』読者の皆さんにオススメいたします!構成/山田美保子『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ~テレ)、『アップ!』(同)、『バイキングMORE』(フジテレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。※女性セブン2021年11月4日号
2021.10.25 07:00
女性セブン
田村正和さんが出演した名作ドラマの数々はどこまで再放送されるか(時事通信フォト)
さんま、木村拓哉…最高傑作の呼び声高い『古畑』第2シリーズの犯人
 4月に静かに亡くなった田村正和さん(享年77)の代表作といえば、スペシャル版も含めて約12年にわたり人気を博した刑事ドラマ『古畑任三郎』(フジテレビ系)だ。 このドラマの見どころのひとつが、毎話登場する豪華なゲストたち。全3シリーズのなかでも最高傑作と呼び声も高い第2シリーズのゲストを紹介する。・第1話 「しゃべりすぎた男」明石家さんま(65才)“お笑い怪獣”が犯人役を演じ話題に。敏腕弁護士(明石家さんま)が結婚の邪魔になった恋人を殺害。しかし逮捕されたのは古畑の部下である今泉だった……。クライマックスシーンのさんまとの弁論対決に注目が集まった。・第2話 「笑わない女」沢口靖子(55才) 清純派の沢口が犯人役を演じた本作。厳しい校則を厳守すべきと考える全寮制女子高の教師が、人気の男性教師を殺害する。シリーズ初となる「動機当て」が最大のみどころに。・第3話 「ゲームの達人」草刈正雄(68才) 友人であり、不倫相手の夫でもある推理作家を殺害する主治医(草刈正雄)。犯人役の草刈と古畑役の田村さん、昭和を代表する二枚目役者同士の対決シーンが印象的。・第4話 「赤か、青か」木村拓哉(48才) 天神大学電子工学部研究助手(木村拓哉)は、遊園地の観覧車に爆弾を仕掛けた後に出くわした警備員を殺害。当時23才で人気絶頂だった木村が犯人役になったことで、大きな話題に。・第5話 「偽善の報酬」加藤治子(享年92)“上品なお母さん”のイメージが定着していた加藤が犯人役に。物語で古畑はすぐに犯人をつきとめるが、凶器がわからない。「動機当て」に続く、「凶器当て」をテーマにした作品。・第6話 「VSクイズ王」唐沢寿明(58才) テレビの人気クイズ番組でチャンピオンの座を死守してきたクイズ王(唐沢寿明)が、密室で衣装係を殺害する。密室トリックとともに犯人が殺害現場からどう脱出したか、視聴者も唸らされた。・第7話 「動機の鑑定」澤村藤十郎(77) 骨董界を舞台にした殺人事件。本物の壺と偽物の壺が物語のキーワードに。歌舞伎役者の澤村が、初めて現代劇に出演し、視聴率は24.3%をマークした。「単なるアリバイ崩しではなく、話に重みがありすごく面白い。物の価値は、人によって全然違うのだということを改めて思わされる名作です」(漫画家&テレビウォッチャーのカトリーヌあやこさん)・第8話 「魔術師の選択」山城新伍さん(享年70) 往年のトップスターが元有名マジシャンの殺人犯役で登場。大胆にも、古畑の目の前で自殺に見せかけて殺害を敢行。その巧みな方法と暴き方が見どころ。・第9話 「間違われた男」風間杜夫(72才) 雑誌編集者 (風間杜夫)が2人の男を殺害した後、忍び込んだ被害者宅で運悪く古畑に遭遇。物語の重要なシーンに『サザエさん』(フジテレビ系)が映っており、再放送ができない幻の回。「古畑史上もっともかわいそうな犯人。風間さんと古畑との丁丁発止のやり取りが楽しい。『もうやめてあげて』と言いたくなるほど追い込まれる風間さんが笑いを誘います」(カトリーヌさん)・第10話 「ニューヨークでの出来事」鈴木保奈美(54才) 古畑と今泉(西村まさ彦)はニューヨーク行きの深夜バスで美女(鈴木保奈美)と居合わせる。彼女が過去の完全犯罪のトリックを明かしていくが…。鈴木は田村さんへの追悼コメントで「大好きです。尊敬しています」と、SNSでこの作品の2ショット写真を投稿した。※女性セブン2021年6月24日号
2021.06.14 19:00
女性セブン
致死率100%のウイルスに立ち向かう『アウトブレイク』(共同通信社)
厳選・感染症パニック映画7作が描いた「パンデミック後の世界」
 中国や欧米に続いて日本でも新型コロナウイルスとの本格的な戦いに突入したいま、次なる関心は「パンデミック後」の世界だ。 今後、人類はどんな恐怖に直面し、どんな勇気をふりしぼり、どんな叡知を見せるのか。映画評論家・前田有一氏による見どころ解説とともに、未来を示唆する映画7作品を紹介する。 世界中に拡散した新型の致死性ウイルスを封じ込めるため、米CDC(疾病予防管理センター)など関係機関の奮闘と社会の混乱を描く──その圧倒的なリアリティが再評価された映画『コンテイジョン』が動画配信サービスで視聴数を急増させている。前田氏はこう語る。「2011年の公開当時は感染拡大の様子を淡々と描く手法が“退屈”だとして4億円程度の興収でしたが、いま見返すとまさに世界の現状そのもの。感染拡大で起きうる危機を先取りし、対処の手本としての評価も高いです」 他にも、『アウトブレイク』や『復活の日』など感染症を扱った名作は少なくない。その多くは人類とウイルスの対決だけでなく、危機に瀕した人間の心理や社会の変容も示唆している。「『コンテイジョン』が1999年にマレーシアで起きたニパウイルス感染症をモデルにしているように、実際の感染拡大を取材して数年後に映画が作られることは多い。いま人類が直面する難局を乗り越えるヒントが映画には詰まっています」(前田氏) 以下、感染症にまつわる映画作品を紹介しよう。【感染症パニック映画7選】◆『コンテイジョン』(2011年)(監督:スティーブン・ソダーバーグ/出演:マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ジュード・ロウほか)【内容】 出張先の香港から帰国したアメリカ人女性が体調不良を訴えた後に死亡し、同じ症例の死亡者が世界各国で相次ぐ。新型ウイルスに対抗すべく、研究者たちは感染源の特定からワクチンの開発にと奔走する。感染拡大を防ぐための都市封鎖や、政府の陰謀論を唱えたデマの拡散によって民衆は暴徒化。さらには開発されたワクチンが人々の手に渡るまでの紆余曲折が、科学的な考証と緻密なシミュレーションによって導き出され、ウイルス感染における恐怖が描かれている。【見どころ解説】 中国圏から発生したウイルスが世界に広がりパニックを巻き起こす。クラスター感染や子供たちの休校、生物兵器陰謀論がネットで蔓延、急造病院の出現、議員への感染拡大など、あまりにも現実と符合する内容で驚かされる。◆『アウトブレイク』(1995年)(監督:ウォルフガング・ペーターゼン/出演:ダスティン・ホフマン、レネ・ルッソ、モーガン・フリーマンほか)【内容】 ザイールの小さな村で出血熱が猛威を振るっていた。そんな折、密輸者の手によってアフリカから持ち込まれた1匹の猿が感染源となり、アメリカでも飛沫感染によってウイルスが拡散してしまう。この未知の伝染病は、過去にザイールの内戦に参加していた傭兵部隊で流行し、アメリカ陸軍が隠蔽した出血熱と同一であると判明する。既に作られていた血清は、さらに変異を起こしたウイルスには効果がなく、危機的状況のまま、人類は致死率100%のモンスターウイルスと相対することになる。【見どころ解説】 エボラ出血熱をヒントにした架空の致死性ウイルスに、どう立ち向かうかを描いたエンタメ作。“3密”の劇場で感染が広がったり、ウイルスがやがて空気感染タイプへ変異するなど、来るべき感染爆発の最悪のパターンを見て取れる。◆『復活の日』(1980年)(監督:深作欣二/原作:小松左京/出演:草刈正雄、夏八木勲、多岐川裕美ほか)【内容】 東西冷戦末期の1980年代初頭、東ドイツの陸軍細菌研究所で作られたウイルス『MM-88』が研究所から持ち出されたことに端を発し、人類崩壊へのカウントダウンが始まる。大気に晒され、とてつもないスピードで増殖するウイルスは、瞬く間に全世界で大流行し、南極大陸に駐在していた900人弱を残し、ほとんどの人類が絶滅してしまった。人類の未来を託された各国の南極基地隊員は叡智を結集し、人類再生・世界救出の術を手探りで模索していく。【見どころ解説】 国産終末SF超大作。40年前の作品ながら、気温によってウイルス活動が左右されたり、イタリアで爆発的感染が起きたりと、予言的な内容をはらむ。減りすぎた女性との性交渉が管理されるなど、崩壊する人間社会の姿が不気味だ。◆『感染列島』(2009年)(監督:瀬々敬久/出演:妻夫木聡、檀れい、国仲涼子ほか)【内容】 とある総合病院で第一感染者が死亡した。当初は鳥インフルエンザが変異を起こしたものとみられていたが、ウイルスの真の正体と発生源、その治療法を見つけるべく人類は奔走する。その間にもウイルスは蔓延し、都市部から全国へと爆発的な感染力で列島を地獄絵図に変えていく。人工呼吸器や医療従事者の不足で医療現場が崩壊していく様や、都市の封じ込め政策から都市機能が停止していく過程等、未知のウイルスを前に、滅亡の危機に晒される日本の姿を描く。【見どころ解説】 現代日本を舞台にした感染もの。CGを駆使したウイルス感染シーンと、荒廃した東京の街が衝撃的。大学病院など専門家監修によるリアルさが売りで、病院閉鎖からトリアージへと続く医療崩壊は、まさにいま、絶対に避けたい展開だ。◆『FLU 運命の36時間』(2013年)(監督:キム・ソンス/出演:チャン・ヒョク、スエ、パク・ミナほか)【内容】 香港からの不法労働者が詰め込まれたコンテナが、ソウル郊外・盆唐(プンダン)区に到着した。中は死体の山となっており、その中から唯一の生存者が逃げ出し行方をくらましてしまう。彼は新型インフルエンザに感染しており、強力な感染力を持つウイルスが撒き散らされた盆唐区では国家災難事態が発令され、都市の完全封鎖が敢行される。救急隊員のジグは、女医のイネとその娘・ミルを守るため、封鎖された都市に残る。一方で、世界的感染を防ぐため米軍による都市消滅計画が進められていた。【見どころ解説】 韓国で大ヒットした感染パニック映画。鳥インフルエンザをモデルにした致死性ウイルスを封じ込めるべくロックダウンが行なわれる。都市封鎖による混乱と、人命救助に奔走する救急隊員らの姿が感動的に描かれている。◆『レック4 ワールドエンド』(2014年)(監督:ジャウマ・バラゲロ/出演:マヌエラ・ベラスコ、パコ・マンザネド、エクトル・コロメほか)【内容】 感染した人間がゾンビ化し、生存した人間を襲うゾンビホラー映画『REC』シリーズの4作目である本作は、シリーズ中唯一の生き残りである主人公・アンヘラが、救助に現われた医師・グスマンに救出されたところから始まる。目覚めた2人は、感染症研究のために隔離された船内にいた。寄生体に感染しているはずのアンヘラだが、血液検査の結果は陰性。しかし研究室で隔離中だった猿が脱走したことで、船内に感染が広がっていく。【見どころ解説】 ドキュメンタリータッチで高く評価されたスペイン製ホラー。感染者の隔離に最適のはずの船内でウイルスが拡散。逃げ場のない密室へと一変する恐怖は、ダイヤモンド・プリンセス号の騒動を経た現在では絵空事とは思えない。◆『28日後…』(2002年)(監督:ダニー・ボイル/出演:キリアン・マーフィ、ナオミ・ハリス、クリストファー・エクルストンほか)【内容】 ジムは交通事故に遭い、昏睡状態に陥っていた。事故から28日後、病院で目を覚ました彼が目にしたのは、人が消え去り荒れ果ててしまったロンドンの街だった。すべての元凶は一匹のチンパンジー。襲った人間の精神を破壊し凶暴化させる恐るべきウイルスが蔓延した結果、街がゴーストタウンと化してしまっていたのだ。襲い掛かってくる感染者から数少ない生存者とともにサバイバルを繰り広げるSFホラー映画として、第30回サターン賞の最優秀ホラー映画賞を受賞した。【見どころ解説】 感染すると怒りの感情が増幅し他者を襲い始めるウイルスによる異色の終末SF。異常な感染力とスピードが巻き起こすパニックが、コロナ禍を彷彿とさせる。気の抜けない緊迫感の中でのサバイバル劇は他人事とは思えない。※週刊ポスト2020年4月24日号
2020.04.18 16:00
週刊ポスト
続編完成!
『まだ結婚できない男』の阿部寛が大絶賛されたのはなぜか
 時代は変化する。ヒットの法則はあれど、求められる役割が変わってくるのはビジネスマンも役者も同じ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。 * * * 2006年から13年が経ち『結婚できない男』の続編『まだ結婚できない男』(フジテレビ系 火曜日午後9時)が始まりました。さっそく話題を振りまいています。Twitterのトレンドランキングでは世界1位になる盛り上がり。初回視聴率は関西15.7%、関東11.5%と見事なロケットスタート。『まだ結婚できない男』の主人公は……偏屈で独善的で皮肉屋の建築家・桑野信介。阿部寛が演じる変人・桑野を、「待ってました」と暖かく出迎えた視聴者。「昔とちっとも変わらない」と歓喜。「おかえりなさい」「お変わりなくて何より」と大絶賛です。 このドラマ、たしかに主人公の奇妙な魅力がエネルギーの源と言えるでしょう。自宅では大音量でクラシックを聴きご満悦。眉間にしわを寄せて小理屈やウンチクを垂れ流し、一人流しそうめんを食べている時はニコニコ顔。そう、あの桑野信介は健在です。 しかし、13年を経て世の中は変化しました。 まず、IT化した環境。桑野はスマートスピーカーに指示を出し、しもべとして使いこなす。孤高ぶりは輝きを維持しています。もう一つ大きく変化したのが、「結婚できない男」の存在。すでに当たり前になった世の中でもはや自虐ネタでも何でもなく、日常化したお一人様。 そのように、桑野をとりまく環境に変化はある。しかし、視聴者が見たいのは「他者を意に介さない独善家が、時に心を揺さぶられ、ささやかに変身していく」愛らしい姿です。そのポイントさえしっかりと押さえれば、いかなる時代の変化もさして問題ではない、ということを第一話は見事に証明しました。 このドラマを見ていて何よりも感銘を受けるのは、「役者」という存在の奥行きでしょう。 阿部さんの出発点はご存じメンズノンノのモデル。身長が高く彫りが深い、まさしく正統派二枚目のイケメン。下手すれば同じような二の線の役柄しかもらえず、年をとればそれもつらくなり、先細りになりかねない。実際、阿部さんにもそんな不遇の時期があったそうです。 しかし、結果として見事に「三の線」へと転換を果たした阿部さん。きっかけは『TRICK』、不動の地位を築いたのが『結婚できない男』と言えるかもしれません。  桑野役をこなしたことによって大きく開けた役者人生。その後の映画『テルマエ・ロマエ』(2012年)では、あのおとぼけ古代ローマ帝国の浴場設計技師で、まさに三の線の円熟ぶりを見せつけました。それに、日本人で「ローマ人」役にどんぴしゃハマる人って阿部さんしか考えられない、そう思わせてしまうほど、身長と彫りの深さという二枚目モデル姿を武器として活用した大技でした。 さて、「二枚目から見事に脱皮した役者」ということでいえば、最近のドラマであの人のことも忘れてはいけません。NHK朝ドラ『なつぞら』で大黒柱のように全体を支えた草刈正雄さん。登場するだけで人間の深みというものを伝える力には、もう脱帽です。 草刈さんもまた、資生堂専属モデルから出発し、「二枚目」として人気を極め、その後脇役しか来ない不遇の時代を経験しました。ご本人も「二枚目」というイメージを崩したいともがき苦しみ続けてきた、とインタビューで語っています。さらに息子を亡くすという不幸も経験し、人生の酸いも甘いも知った後、いぶし銀のような風貌と円熟味の役者にまで到達したのでしょう。 モデル出身と言えば、竹野内豊さんも期待したい役者の一人です。ドラマ『この声をきみに』(NHK 2017年)では「二の線」ではなく、まったくイケていないダサイ格好の頑固な中年男性を演じた竹野内さん。次第に柔らかな心を獲得していく変化のプロセスが印象的で、深い声の響きも素晴らしく、感動させてくれました。 そこで……どうしたって注目しなければならない今期のドラマ最大の「二枚目」がいます。 キムタクです。10月20日放送開始のドラマ『グランメゾン東京』(TBS系日曜午後9時)では型破りなシェフを演じるという木村さん。依然「二の線」を走る俺様アイドルのままなのか、それとも路線から降り役者として大きな可能性を手にいれるのか。本人の意思とは関係なく、どうやっても「二の線」から下ろしてもらえないのか。かたずを飲んで見守る、といったところでしょうか。
2019.10.12 16:00
NEWSポストセブン
『なつぞら』出演者たち
『なつぞら』大団円 清原果耶という才能発見を喜ぶべきか
 半年もの間、見続けてきた物語が終わるとなれば、様々な思いが去来するものである。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が朝ドラについて総括する。 * * * 半年間続いたNHK朝の連続小説『なつぞら』も、いよいよ幕を閉じました。なつの祖父・泰樹(草刈正雄)が、最後にしっかりたっぷりと登場し「幕引き役」を担いました。 最初の「北海道編」で視聴者を感動の渦に巻き込んだ、あの泰樹です。それだけに泰樹が登場すれば視聴者の満足感が高まることは想定内。それでも制作サイドはまだ万全とは思えなかったのか、最終週に北海道出身の人気俳優・大泉洋を「水曜日」にわざわざ出演させるなど、大団円に手を尽くしたようです。 そして予想通り、泰樹の開拓者魂に拍手喝采の中、半年の幕を閉じた『なつぞら』。しかし、よかったよかったと終わるわけにはいきません。朝ドラ愛を胸に毎日見続けてきた視聴者としては、ここ3ヶ月程の退屈な記憶を全て消し去ることは難しいのです。 数ある朝ドラの中で『なつぞら』が突出していた点。それは何よりも、後半の間延び具合でした。他を抜きん出る単調さ、類を見ない平板ぶりは、ピカ一でした。 主人公の奥原なつ(広瀬すず)が北海道から上京し「アニメーターになる」という夢を叶えて以降、あまりにも同じ空気が流れ続けました。 結婚しようが出産しようが、仕事をバリバリこなそうが24時間寝ないで現場に張り付こうが、なつの人格も表情も目つきもほとんど変化がない。きれいに編み込んだ髪、つやつやした肌、イヤリングに華やかな衣装ばかり目に入る一方、声のトーンもセリフ回しも一辺倒。 このドラマのモデルとなったアニメーター・奥山玲子さんはオシャレで有名だったとか。それを真似たのか、ファッショナブルな姿は毎日クルクルと変わっていく。しかしそれとは対照的に、なつの感情表現は不動のまま。結果として「着せ替えごっこ」に見えてきて困りました。 そう、なつはいつだって「お嬢さん」風情で母親にも仕事師にも見えない点が残念でした。 いや、なつだけではありません。夫・演出家の坂場一久(中川大志)も、ずうっと青年の風貌。父にも中年演出家の風格も漂わず、最後まで「爽やかイケメン」道を貫き通しました。 あるいは、なつを取り巻く職場の人々もそう。東洋動画からマコプロへと場所だけは変化したけれど、10年単位で時が経過したのがウソのように、ももっちも茜も下山も神地も前と同じ雰囲気。 ここまで全体が変わらないとなると、毎日見続けるのにはかなりの根気を要します。しかも、なつの周囲の人々はいつも優しくて、なつを手助けし、なつも好きなことを仕事にでき好きな人と結婚し、子供にも恵まれ、ああよかったよかった、という順風満帆の人生。「戦災孤児」という出発点の苦労以外は。 もちろん、ドラマの中に変化もなくはなかった。しかしそれは皮肉なことに、なつ夫婦や職場の「外」にこそ、見てとれたのです。 特にインパクトを残したのが清原果耶さんが演じた妹・千遥の存在でした。戦災孤児のなつと千遥の姉妹は別れ別れに。そして千遥を待っていたのは、なつとはまったく違う苦難に満ちた女の人生でした。 ドラマに出ていた時間だけ計算すれば、なつの「何百分の一」という短さでしたが、しかし17才の清原さん演じる千遥はまさに少女から大人へ、結婚、離婚、苦労しながら小料理屋の女将に収まるまでの時の「変化」をしっかりと演じ切りました。着物姿の千遥の横顔に、陰翳と成熟を感じとった人も多いはずです。 という千遥との対象によって、よけいなつの平板さが浮き彫りになり千遥にドラマをもっていかれた観もある『なつぞら』。ドラマ的展開がもっともっと欲しかった、と嘆くより、節目の朝ドラ通算100作目に17才の新たな才能を発見できた、と喜べばいいのかもしれませんが。 来週から始まる戸田恵梨香さん主演の『スカーレット』では、ぜひ本物の波瀾万丈人生ドラマを見せて欲しいものです。
2019.09.28 16:00
NEWSポストセブン
『なつぞら』出演者たち
『なつぞら』、早期にソフトランディング 展開に疑問も
 広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説『なつぞら』。放送終了まであと1か月となり、クライマックスに向けて盛り上がっていくのかと思いきや…そのストーリー展開に疑問の声が出ている。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 * * * 序盤は22~23%で推移していた視聴率が8月に入ってからは、20%を下回る日も目立つようになった朝ドラ『なつぞら』。残り1か月の放送が残っているにも関わらず、ネット上にはネガティブな記事や書き込みが増えているのは気がかりです。 ネガティブな記事や書き込みで多いのは、「結婚したあと何の物語なのか、わからなくなった」「いろいろ問題が出るけどサクサク解決してしまう」などのストーリーに対するもの。第19週114話(8月10日)の最後に描かれたのは、奥原なつ(広瀬すず)と坂場一久(中川大志)の結婚式。最後にスピッツの主題歌『優しいあの子』が流れる最終回のような演出だったことも含め、多くの視聴者は「これでひと区切り」という印象を抱きました。 続く第20週(8月12日~17日)から、なつと一久の夫婦生活がスタート。なつの兄・咲太郎(岡田将生)と光子(比嘉愛未)の結婚を描いたあと、なつが妊娠してマタニティハラスメントを乗り越える場面が描かれました。 21週(8月19日~24日)は、なつが産休に入り、北海道の柴田家が上京する中、無事に出産し、仕事現場に復帰するまでが描かれました。 22週(8月26日~31日)は、なつが作画監督を任される一方、娘・優の待機児童問題が発生したものの、茜(渡辺麻友)からの申し出で解決。「優が茜になついてしまう」という悲しいシーンもありましたが、翌日の放送で5歳に成長していました。 結婚から各一週の放送で妊娠・出産し、マタハラや待機児童問題もアッという間に解決。作画監督という大役であるにも関わらず、仕事上の葛藤や問題はほとんど描かれることなく、仕事と子育ての両立という難しさがありながら、娘・優はわずか一週の放送で5歳に育っていました。 つまり、なつは仕事で一定の成功を収め、さらに結婚という「公私両面でのピークをお盆前に迎えて以降、仕事も人生もサクサクと進んでいる」のです。その様子は、まるで9月28日の最終話に向けた早く長いソフトランディング(衝撃の少ないゆるやかな降下と着地)。9月の残り4週も、北海道の人々や兄妹とのエピソードを中心に描かれるなど、仕事での大成功がなさそうな、ゆるやかな展開に疑問の声があがっているのです。◆成功のわかりにくさとタイミングの難しさ 冒頭にあげた「何の物語かわからない」という声が出る最大の理由は、なつが仕事でわかりやすい成功を収めないから。なつはアニメーターとして素晴らしい実績を積み上げていくものの、それがどれくらいすごいことなのか視聴者はわからないのです。 たとえば、『あさが来た』『とと姉ちゃん』『まんぷく』は、主人公が仕事でのわかりやすい成功を収めて、視聴者に爽快感や満足感を与えました。一方、『なつぞら』は、そもそも「誰をモデルにした朝ドラなのか?」がわかりにくかった上に、なつが手がけるアニメも「どの作品がモデルなのか?」が不明瞭。前作『まんぷく』のチキンラーメンやカップヌードルと比べると、そのわかりにくさが理解できるでしょう。 ゆえに『なつぞら』は、「仕事で成功を収める」のではなく、「戦災孤児が温かい人々に囲まれて幸せに生きる話だった」ということ。だから「終盤の2か月間は仕事上のさらなる成功を描く」というより、お盆の段階から最終回に向けた早く長いソフトランディングをはじめているのではないでしょうか。 近年、実在の人物をモデルにした朝ドラが大半を占めるようになりましたが、そのことで「仕事の成功をどのタイミングで描くか?」「仕事の成功後に何をどう描くか?」という難題が浮上しています。 たとえば、『べっぴんさん』『わろてんか』の主人公は、「仕事での成功を収めたあとに、仕事と子育ての両立を描きながらソフトランディングする」という『なつぞら』と同じ構成でした。仕事の成功を描いた序盤から中盤にかけては盛り上がった反面、終盤は「余生を描いているみたい」「尻つぼみ」などのネガティブな声も少なくなかったのです。 逆に『まんぷく』は、序盤から中盤にかけて苦しい展開が続き、終盤に入ってようやく即席ラーメンを完成させることで、それらのネガティブな声を避けられました。ただその分、序盤と中盤で似たような苦境を繰り返したことに、ネガティブな声が飛んでいたのも事実です。 仕事の成功を中盤にするか? それとも終盤にするか? どちらにしても朝ドラは26週150話超の長丁場だけに、「中だるみ」「尻つぼみ」に陥らないためのハイレベルな構成力が問われることは間違いありません。 ただ、来春放送の『エール』から朝ドラは月~金曜の週5日放送に変わり、26話の短縮が予定されているだけに、これまでよりもペース配分がしやすくなるのではないでしょうか。◆北海道シーン満載の終盤へ突入 最後に話を冒頭のネガティブな声に戻すと、もう1つの「なつの問題がサクサク解決してしまう」のは、それが当作にとって本当に描きたい重要な問題ではないから。 お盆以降に放送されたマタハラ、待機児童、働く母親の葛藤などを「こういうこともありました」というダイジェストのような描き方に留めたのは、「その分、家族の物語を丁寧に見せよう」という方針からではないでしょうか。 アニメ制作のシーンが好きな人にとって残り1か月間の放送は、少し物足りなさを感じるかもしれませんが、一方で北海道のシーンが好きな人は十分楽しめる内容になるでしょう。特に泰樹(草刈正雄)、天陽(吉沢亮)、照男(清原翔)の見せ場があるようなので、多くの女性視聴者を喜ばせてくれるはずです。【木村隆志】コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。
2019.08.31 07:00
NEWSポストセブン
『なつぞら』出演者たち
『なつぞら』視聴率低下と否定的な声 初のピンチ訪れた理由
 広瀬すず演じる主人公のなつが地元の北海道を離れ、東京でアニメの世界で奮闘する姿が描かれるNHK連続テレビ小説『なつぞら』。視聴率好調が続いていたが、ここ最近、異変が…。何があったのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 * * * 記念すべき100作目の朝ドラとして4月1日にスタートした『なつぞら』。第1週に平均視聴率22%超を記録して以降、「北海道・十勝編」が放送された第7週(5月18日)までは高水準を続けていましたが、「東京・新宿編」がはじまった第8週以降、雲行きが怪しくなっているのです。 平均視聴率の推移を振り返ると、第1~4週は22%台と最高のスタートを切ったあと、第5週は20.7%と大幅ダウン(その理由は後述します)。第6週に21.3%と持ち直しましたが、第7週が22.1%、第8週が21.6%、第9週が20.8%と右肩下がりで、第10週も20%台に留まることが濃厚。さらにネット上のコメントを見ても、それまでの称賛一色から一転して、「面白くなくなった」「ずっと十勝でよかった」などの否定的な声が増えているのです。 視聴率が下がり、否定的な声が増えている主な理由は、「物語の舞台が北海道から東京に変わり、同時に登場人物がガラッと変わった」から。これまでの舞台と登場人物に愛着を持つ人の多さが、皮肉にも現在のピンチを招いているようです。 ただ、月~土曜の週6話を半年間放送する長丁場の朝ドラには、このような舞台と登場人物の変更はつきもの。そもそも変更にはネガティブな面よりも、「マンネリを避け、活性化させる」というポジティブな狙いがあり、制作サイドにとっては腕の見せどころです。 たとえば、朝ドラの前2作を振り返ると、『半分、青い。』と『まんぷく』は舞台の変更を繰り返しても、否定的な声こそあったものの、大きく視聴率を落とすことはありませんでした。『半分、青い。』は舞台が変わっても地元・岐阜の人々を絡めていましたし、『まんぷく』もヒロインの母や姉夫婦などのコアメンバーを頻繁に登場させるなどの工夫で、視聴者に“〇〇ロス”という寂しさを感じさせなかったのです。◆新たな登場人物に愛着が持てない その点、現在の『なつぞら』は「北海道・十勝編」の登場人物がほとんど出て来なくなり、「東京・新宿編」「アニメーション編」の新たなメンバーばかり。視聴者に新たなメンバーへの愛着が生まれるまでの間は、苦戦が続くのかもしれません。 もちろん制作サイドも無策だったのではなく、第5週の段階で、なつ(広瀬すず)を上京させて、「東京・新宿編」「アニメーション編」の登場人物をひと通り見せました。これは「いきなりガラッと変えるのではなく、視聴者に予告編のように見せておくことで違和感を防ぎ、期待感を高めよう」という狙いでしたが、「北海道・十勝編」への愛着が深かったせいか、あまり効果がないようなのです。「北海道・十勝編」の中でも、なつが上京した第5週が最も低い20.7%に留まり、初の10%台を2度も記録したことからも、視聴者が何を望んでいるかは歴然。あらためて振り返ると「北海道・十勝編」は、家族を中心にした温かい人間模様と、豊かな自然をフィーチャーしていました。対して、「東京・新宿編」「アニメーション編」は、なつがアニメーターを目指すシーンばかりになり、作品そのものがガラッと変わった感があります。 また、リアルタイムで朝ドラを見る視聴者層と相性が悪そうなのは、なつがとんとん拍子で夢を実現させていくこと。上京してわずか半年間で希望の会社「東洋動画」に入社し、セル画に色を塗る仕上課に配属されたと思ったら、アッと言う間に希望の作画課に入るチャンスを得るなど、実に恵まれているのです。 勤め先の「東洋動画」だけでなく、「ベーカリーカフェ 川村屋」「おでん屋 風車」の人々からも親切にされるなど、なつにはピンチが少なく、苦労をしている描写もさほどありません。リアルタイムで朝ドラを見る視聴者層は、ピンチや苦労のステップを重視し、ハートフルなシーンを好む保守派が多いだけに、物足りなさを感じているのではないでしょうか。◆アニメーションの魅力をどう伝えるか 6月10日からの第11週では、「北海道・十勝編」の登場人物たちが何人か登場するようですが、やはり視聴者が見たいのは、柴田泰樹(草刈正雄)、柴田富士子(松嶋菜々子)、山田天陽(吉沢亮)の3人。「ほとんど出なくなった人気キャラたちをどう扱うか」が直近の課題であるとともに、今後は「『東京・新宿編』『アニメーション編』の登場人物たちをいかに魅力的なキャラにしていくか」が鍵を握っているのです。 ただ、現在のように視聴率が下がり、否定的な声が増えているのは、「北海道・十勝編」の出来がよかったからであり、その反動にほかなりません。「いろいろ言いたくなるけど、けっきょく見たくなる」「毎日見ているうちにヒロインをはじめ、多くのキャラを好きになっている」という朝ドラの醍醐味が失われない限り、これ以上のピンチにはならないような気がします。 また、「北海道・十勝編」にはなかったアニメーションを新たな魅力として加えることで、視聴率と評判がV字回復する可能性もあるでしょう。まだ全体の半分も放送していないだけに、現在の状況だけで見切りをつけず、もう少し温かい目で見守ってもいいのではないでしょうか。【木村隆志】コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など
2019.06.08 07:00
NEWSポストセブン
『なつぞら』出演者たち
『なつぞら』絶好調を支える脚本家「入れ子芝居」の妙
 高評価が定まりつつある朝ドラ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が、脚本家の技巧について言及する。 * * * NHK連続テレビ小説『なつぞら』が絶好調。平均視聴率は22.1%(第8週まで)と、実に安定した走りっぷりを見せています。このドラマの何が牽引役となっているのでしょうか? まず冒頭の2週間、子役時代のなつを演じた粟野咲莉の演技のうまさに、心をグッとつかまれた視聴者が続出しました。なつが広瀬すずになってからの北海道シーンでは、「祖父」泰樹(草刈正雄)となつとのやりとり、泰樹の人生経験から絞り出される深いセリフに感動した、涙した、といった称賛の声が聞かれました。 一方で吉沢亮、岡田将生、工藤阿須加……ズラリと揃った「イケメン祭り」が牽引役、という声も聞かれます。また、過去の朝ドラヒロインのオンパレード出演──松嶋菜々子、小林綾子、比嘉愛未、山口智子らがとっかえひっかえ出てくる面白さが際立っているから、と見る向きも。 そう、どれもが絶好調の要因に違いありません。ただ、私がこの朝ドラで最も注目している点は別のところにあります。一言でいえば、脚本家・大森寿美男の「入れ子芝居」のテクニックです。 ご存じのように入れ子とは一つの枠組の中にまた入れ物があって、またその中に別の入れ物がある……という仕掛け。『なつぞら』の一番大きな入れ物としては、まず「なつの成長物語」があります。戦争で両親を失った孤児の女の子が、北海道で新たな「家族」を得て、東京で実の兄と再会し自分の夢に向かって羽ばたいていく、という本筋を入れる器です。 その大きな物語の「器」に、また別の物語の「器」が入っている。例えば高校生のなつが所属する演劇部でお芝居『白蛇伝説』を上演。なつはヒロイン・ペチカを演じます。この芝居はただの劇中劇に留まらず、本筋である家族の話や泰樹と農協との確執といったことに絡んでいき、なつと泰樹との新たな関係へとつながる。その技巧的展開は見事でした。 あるいは、東京・新宿編では「ムーランルージュ新宿座」のきらびやかな舞台。クラブ「メランコリー」では歌手・煙カスミ(戸田恵子)にパッとスポットライトが当たりゴージャスな衣装に身を包んだカスミの華やかな声が響きわたる。そう、一瞬にして別世界が立ち現れるワクワク感がいい。 岸川亜矢美(山口智子)の踊り子シーンに咲太郎(岡田将生)のタップダンスと、他にも小さな舞台がいくつも用意されています。ロシアの玩具・マトリョーシカ人形はよく知られていますが、このあたりはいわば“マトリョーシカ的ドラマ仕掛け”と言ってもよいのかも。 そもそも、「新宿」という場所自体、そうした演劇的DNAを持っている土地柄です。花園神社は昔から見世物小屋が出たり大道芸人が芸を見せる場所だったし、今でも境内でテント芝居が上演されています。「歌舞伎町」という地名もそう。空襲で焼けた町の復興事業として歌舞伎の劇場の建設計画が持ち上がり地名が生まれ、紆余曲折を経て新宿コマ劇場が誕生しました。 というように、新宿の土地には演劇的DNAが埋まっている。大森氏が「新宿」という場所を選んだのも、そうしたDNAと関係しているはず、と想像できます。 なつの物語が、一転して別世界へと飛ぶ。鮮やかな場面転換が視聴者を惹き付け、飽きさせない「駆動力」になっているのではないでしょうか。 時空を飛ぶ仕掛けといえば、絵を描く「キャバス」も装置の一つ。例えば、なつが東洋動画の入社試験を受ける時、キャンバスを介して突然北海道で絵を描いている天陽(吉沢亮)が登場。「どこにいたって俺となっちゃんは何もない広いキャンバスの中でつながっていられる。頑張れ。頑張ってこい、なっちゃん」とエールを送るシーンは実に印象的でした。 今どきの視聴者は「イケメンが出ていればストーリーはそっちのけ」というほど甘っちょろくはない。脚本自体も、そんな薄っぺらい中身ではない。脚本・大森氏はかつて朝ドラの名作『てるてる家族』においても入れ子的演劇仕掛けを随所に仕込み、人形浄瑠璃や昭和歌謡レビューを挿入しながら、まるでミュージカルのような楽しさを味わわせてくれました。 2ヶ月が経過した『なつぞら』。役者たちが頑張ってくれることは疑いなし。だからあとの4ヶ月、物語の「立体的構造」に磨きをかけエッジを鋭くし、脚本の妙によってぐいぐいと引っ張り続けてほしい。ぜひ、見たこともない朝ドラを生み出してほしいと思います。
2019.06.01 16:00
NEWSポストセブン
広瀬、松嶋、藤木… 『なつぞら』出演者の打ち上げ私服姿
広瀬、松嶋、藤木… 『なつぞら』出演者の打ち上げ私服姿
 記念すべき朝ドラ100作目となるNHK連続テレビ小説『なつぞら』は舞台を東京に移し、ヒロイン・なつは夢に向かって歩き出す! そんななつの上京に合わせるように、都内でますますの好調を願って、出演者たちが渋谷センター街奥に位置するダイニングバーに集まり、“中打ち上げ”を開催した。その場に集まった、出演者たちの私服姿をチェックする。◆柴田富士子役:松嶋菜々子(45才) 大きな愛でなつを包む“富士子”は、ふわっとしたペイズリー柄のロングスカートと革ジャンのメリハリコーデ。なつと同じペタンコサンダルは、仲よし母娘らしく“双子コーデ”!?◆奥原なつ役:広瀬すず(20才) 劇中ではどこか素朴さが残るなつだが、夜の街では黒のワンピースに身を包んで大人っぽく。なつよ、東京ではどんな出会いが待っている!?◆柴田剛男役:藤木直人(46才) 劇中では丸めがねがトレードマークの藤木だが、この日はスクエアフレームめがねで都会的な印象に。淡い色の上下をジャケットで引き締めてさわやかに。◆柴田泰樹役:草刈正雄(66才) 名言連発で一躍人気者となった“おんじ”。なつの上京は「寂しくなるなあ~」(自身のブログより)だそう。ベースボールキャップにスニーカーがこんなに似合うおんじは他にはいません。◆柴田夕見子役:福地桃子(21才) 北大に合格した夕見子にネット上では早くも「夕見子ロス」の声が。哀川翔(57)を父にもつ福地はマスクで“身バレ対策”は慣れたもの!?◆坂場一久役:中川大志(20才) なつの同僚・坂場一久として東京編から登場する。179cmの身長もさることながらビッグサイズのオレンジロンTが目を引きます。◆森田桃代役:伊原六花(19才) なつと同じアニメーション会社に入社し、なつの親友となるモモッチこと森田桃代を演じる伊原。黒のロンパースに白のレース合わせでレディライクに。◆阿川砂良役:北乃きい(28才) 十勝の森の中で父親と2人で暮らす砂良がなつを救い、上京に迷うなつの背中を押した。なつと同じ黒のロングワンピはお揃い? それともかぶっちゃった?※女性セブン2019年6月6日号
2019.05.25 07:00
女性セブン
『なつぞら』が絶好調、渋谷センター街で異例の「中打ち上げ」
『なつぞら』が絶好調、渋谷センター街で異例の「中打ち上げ」
 泥酔した若者の声が明け方まで響き渡る東京・渋谷のセンター街。5月中旬の夜、この“眠らない街”の一角に、数台のワンボックスカーが停車した。続々と降りてきたのは、夜の街には似つかわしくない“朝の顔”──。「実はその日、NHKの連続テレビ小説『なつぞら』の“中打ち上げ”が行われていたんですよ。『なつぞら』は、4月には最高視聴率となる23.6%を記録し、5月に入っても20%超えを連発するなど絶好調。現場のムードもよく、懇親会という名目で、撮影期間中に打ち上げが開催されたそうです。 ヒロインのなつを演じる広瀬すずさん(20才)はもちろん、松嶋菜々子さん(45才)、藤木直人さん(46才)、草刈正雄さん(66才)ら前半の主要キャストや、スタッフなど合わせて120人ほどが集結。お店を貸し切りにして、3時間ほど盛り上がりました」(NHK関係者) 朝ドラの打ち上げは5つ星ホテルの宴会場などで行われることが多かったが、今回会場となったのは、センター街の奥に位置するダイニングバー。普段は洋楽のヒップホップが大音量で流れ、外国人や学生たちでごった返す。店内のダーツを楽しみながら、ナンパに興じる客も見かける店だ。 ピザやポテトフライなどの食事のコースに飲み放題がついて3500円~と、いかにも若者向きでコスパがいい。「スタッフのお気に入りの店で、NHKから近いということもあって白羽の矢が立ったそうですが、松嶋さんや草刈さんがこの店にいるのは違和感がありましたね(笑い)。ただ、費用の面では助けられた人も多かったようです。国民の受信料で成り立っているNHKのドラマの打ち上げは会費制で、出演者も含め参加者全員から徴収するのですが、会場がホテルだと1人6000円はとられるところ、今回は4000円で済んだので」(前出・NHK関係者) 異例だったのは会場だけではない。実は、朝ドラの撮影中に打ち上げが行われること自体が珍しいのだという。「クランクアップ後の打ち上げは毎回行われますが、中打ち上げなんて朝ドラではそうそうありません。というのも、朝ドラの撮影はかなり過酷。ヒロインは肉体的にも精神的にも追い込まれるので、飲み会に誘えるような雰囲気ではないんです。その点、すずちゃんは、のびのびと演じていて余裕が感じられる。だからこそ、自然と『親睦会をしよう』という流れになったのかもしれません」(芸能関係者) 広瀬だけでなく、脇を固める俳優陣の熱演も高視聴率の要因だろう。中でも、草刈演じる泰樹は数々の名せりふが話題を呼んでいる。「草刈さん自身も台本を読むたびに涙しているほど。打ち上げ終盤には、草刈さんが締めの挨拶をしたそうです。泰樹を彷彿とさせる感動的なスピーチでしたが、会場の音楽に消されて聞こえなかった人もいたみたいですよ(笑い)」(前出・NHK関係者) クランクアップの暁には、きっと超豪華な打ち上げが催されるはず。ドラマのナレーション風に言うなら「ああ、なつよ、その日を夢見て、来週に続けよ」というところか。※女性セブン2019年6月6日号 
2019.05.23 07:00
女性セブン
『なつぞら』出演者たち
『なつぞら』と『おしん』 カップリング視聴が生み出す効果
 制作側がどれほど意図したのか定かではないが、「効果」ははっきり出ているようだ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。 * * * NHK総合午前8時の放送に先がけて、NHKBSプレミアムでは7時半から『なつぞら』が放送されています。そして、その前7時15分からは、最高視聴率62.9%と朝ドラの金字塔を打ち立てた『おしん』が再放送中。ということで、一部の熱心な朝ドラファンの間ではBSプレミアムで「2作続けて見る至福」が話題になっています。 特に滑り出しの頃の『おしん』で描き出された東北・小作農家の「貧しさ」、口減らしのため丁稚奉公に出されるくだりはすさまじかった。だから、その後に続く『なつぞら』の戦災孤児・なつの苦労も、「安心して見ていられる」という感想が生まれたほど。いわば、カップリング視聴が生み出す、奇妙な効果です。 そう。『おしん』と『なつぞら』をセットで見ることによって、単独の視聴では気づかないさまざまな発見がある。新しい視点が加わるのです。 もちろん『おしん』は明治から始まり、『なつぞら』は第二次世界大戦後からと、両者はまったく違う時代を描いています。が、ともに女性主人公の成長物語であり、家族を失い単独者として苦労し格闘し生きる力を身につけていく健気さ、たくましさが描かれる点も共通している。だからこそ、2つを対照させることによって、様々な気づきや発見が生まれてくるのでしょう。 例えば5月のこの時期、2作セット視聴を通して最も注目したいテーマは「家族における長老の役割」「その存在感」についてです。 ご存じ『おしん』の場合、少女期に重鎮的存在として登場するのは、おしんの奉公先である米問屋・加賀屋の女当主「くに」(長岡輝子)。その存在感は、生半可ではありません。視野が広く判断が冴えている。大店を切り盛りし家を繁栄させ、奉公人も含めて全体を上手に回していくリーダーシップが実に鮮やか。特に、くにがスゴイのは既存の正義や世に流布している常識・道徳というものに寄りかかるのでなく、自分の頭で考え複眼的に判断を下す点にあります。 例えば、周囲から見ればとても奉公人として役立ちそうもない、幼いおしんを「雇う」と決めた。理由は明解。おしんの家のような貧しい小作農が必死に米を作ってくれるおかげで、自分たち米問屋も回っている。だから人助けとしておしんを子守に迎えるのだ、と。つまり、自分の立場や利益だけでなく、産業構造全体を見据え小作農家と問屋とのつながりを留意した上での判断をするあたり、さすがです。 あるいは、チヤホヤ甘かやされて育った加賀屋のお嬢様・孫の加代と、下っ端奉公人にすぎないおしん、その両者を共に育てあげていく手腕も光っています。妙な「平等主義」にはならず身分の違いは違いとして、しかしお互いを刺激し伸びていく方向へと上手にしむけていく。その結果、二人の間には不毛な対立ではなく共鳴が生まれていきます。そう、くには厳しくも優しく、リアリストとしての冷静さも持ち合わせた懐の深い女当主です。 では、『なつぞら』の方はどうでしょうか。 重鎮といえば、まさしく柴田牧場を統括する柴田泰樹(草刈正雄)です。泰樹も厳しい判断を下します。まず、牧場に引き取った戦災孤児のなつをあえて「赤の他人」と突き放し、自分の弟子のように酪農の厳しい仕事をたたき込む。「ちゃんと働けば、ちゃんといつか報われる日が来る」「無理に笑うことはない。謝ることもない。おまえは堂々としてろ。堂々と、ここで生きろ」「一番悪いのは、人がなんとかしてくれると思って生きることだ」と人生の基本を真正面から伝えていく。泰樹の名言の数々は、多くの視聴者の心に響き涙を誘いました。 くにと泰樹、2人の重鎮から人生を学ぶ醍醐味。共通点もありますが、違いもあります。 例えば、家を安定させるため結婚話を進めよう、と考えるあたりは2人とも似ていますが、くにには迷いがありません。 しかし、泰樹は迷う。なつを手放したくない、本当の家族にしたい一心で、十分な根回しもせず「息子と結婚せよ」となつに言い猛反発をくらってしまう。「そんなこと一度でも思ったら、ここにはおられん。もう家族には戻れんよ。じいちゃんは私から大事な家族を奪ったんだよ」と、なつに言われ絶句してしまう泰樹は、まるでとまどう少年のようです。 純粋ゆえに拙速な行動をとってしまう泰樹。「わしは、なつ、お前と本当に家族になりたかったんだ」と語っても取り返しがつかない。「私を他人だと思ってるからでしょ!」となつに言われて黙りこむ。このあたりの厳しい応酬は、『おしん』には見られない独特の緊張感です。 おそらく『おしん』のくには、家業・米問屋を通じて複雑な人間関係を学びとり確固たる生活哲学を得た人。一方、『なつぞら』の泰樹は、ゼロから出発し自力で土地を開拓してきた人。時に少年のようなピュアさが覗くのは、大地を相手に一人格闘してきたからかもしれません。 両者の姿は違えども、魅力的な大人物であることは共通しています。もっともっと二人の重鎮の言葉を聞いてみたい、と思わせる点も。2作セット視聴による醍醐味は、今後どんなテーマへと移っていくのでしょうか。興味は尽きません。
2019.05.18 16:00
NEWSポストセブン
『なつぞら』出演者たち
好調『なつぞら』、舞台変わる前に“プレ東京編”描いた狙い
 広瀬すず主演で、100作目の朝ドラとしても注目を集める『なつぞら』(NHK)。来週いっぱいで「北海道・十勝編」が終わり、新章に突入するが、その構成にこれまでの朝ドラににない巧みさが見られるという。テレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 * * * 4月1日の初回22.8%からコンスタントに20%超の視聴率を記録するほか、広瀬すずさんや草刈正雄さんの熱演が話題を集めるなど、好調の朝ドラ『なつぞら』。ここまでは、戦災孤児の奥原なつ(広瀬すず)が柴田家に引き取られ、酪農の仕事を手伝いながら成長していく様子が描かれてきました。 その「北海道・十勝編」は、13日からの第7週で終了。20日からの第8週から「東京・新宿編」「アニメーション編」とつながっていくのです。つまり現在は、舞台が変わる最初の節目を迎えようとしているところなのですが、このところの朝ドラでは、「舞台が変わるたびに物議を醸す」という現象が続いていました。 一年前の『半分、青い。』は、「岐阜・故郷編(高校生)」「東京・胸騒ぎ編(漫画家修行)」「人生・怒涛編(100円ショップ)」「戻りました!岐阜編(五平餅カフェ)」「再起奮闘編(発明)」を立て続けに放送しましたが、「まったく別のドラマになった」「変わりすぎてついていけない」などの批判的な声が少なくありませんでした。 前作の『まんぷく』も、メインの即席ラーメン作りに入ったのは、スタートから約3か月半が過ぎたころ。それまでは、出会いと結婚、戦争と疎開、製塩業、栄養食品の開発、信用組合理事長に就任などのさまざまな舞台が描かれ、賛否を集めました。◆3週前に“プレ・東京編”を描いた理由 週6日・半年間放送の長丁場である朝ドラは、主人公の半生を描くことが多く、このように物語の舞台が変わるのは定番であり、珍しいことではありません。ただ、視聴者がSNSで自由に発信できるようになった最近では、「舞台が変わるたびに批判的な声があがる」というケースが増えていました。 その点、『なつぞら』は、巧妙かつ視聴者に優しい構成が見られます。「東京・新宿編」のはじまる3週前の第5週で、なつは兄探しのために上京し、週をまたいだ第6週の月曜まで、東京での様子が描かれました。“プレ・東京・新宿編”“プレ・アニメーション編”と言いたくなるような異例の構成だったのです。 そこに登場したのは、なつの兄・奥原咲太郎(岡田将生)、空襲のときになつを助けた佐々岡信哉(工藤阿須加)、カフェオーナーの前島光子(比嘉愛未)、大型書店社長の茂木一貞(リリー・フランキー)、クラブ歌手の煙カスミ(戸田恵子)、元人気ダンサーのおでん屋女将・岸川亜矢美(山口智子)、「東洋動画」アニメーターの仲努(井浦新)などの魅力あふれるキャラクターと俳優たち。それぞれの人柄と謎をチラ見せすることで期待感をあおるとともに、視聴者の目に慣れさせておいたのです。 朝ドラの舞台が変わることで起きる批判の最たるものは、唐突さによる戸惑い。「連日の放送で愛着を持つキャラクターと俳優が突然いなくなり、なじみのないキャラクターと俳優ばかりになる」ことが寂しさや不満の声を招いていました。『なつぞら』は第6週の火曜から「北海道・十勝編」に戻りましたが、そこでも「東京・新宿編」「アニメーション編」のキャラクターと俳優をときどき登場させているため、舞台が変わる第8週に唐突さや戸惑いを感じさせることはないでしょう。◆「北海道・十勝編」は感動のクライマックスへ『なつぞら』は記念すべき朝ドラ100作目であり、「歴代ヒロインの大量キャスティング」を筆頭に豪華キャストをそろえました。 しかし、せっかくの豪華キャストも、ただ集めただけではその魅力が視聴者に伝わらず、制作サイドにとっては腕の見せどころ。SNSなどのコメントを見ると、「東京・新宿編」「アニメーション編」のキャラクターと俳優を「早く見たい」「気になる」などの好意的な声が多いことから、今のところは狙いが奏効しているのではないでしょうか。 もちろん残り1週となった「北海道・十勝編」のクライマックスも見どころ十分。なつを愛する柴田泰樹(草刈正雄)、柴田富士子(松嶋菜々子)、山田天陽(吉沢亮)らとの切ない別れや恋模様が予想されるだけに必見です。【木村隆志】コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。
2019.05.11 07:00
NEWSポストセブン
草刈正雄
草刈正雄、『なつぞら』に『真田丸』真田昌幸の要素取り入れる
 通算100作目となるNHK朝ドラ『なつぞら』が好調だ。第1週の平均視聴率は22.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録し、過去5年の朝ドラで最高の出だしとなった。 そんな『なつぞら』の中で、“泣ける”と話題になっているのが、草刈正雄(66才)の演技やセリフだ。 草刈演じる柴田泰樹は、ヒロイン・なつ(広瀬すず)が引き取られた北海道・十勝の柴田家の重鎮。18才の時に十勝にたったひとりで入植して荒れ地を切り開いたという人物で、偏屈で頑固な性格だが深い愛情をもった「大樹」のような男として描かれる。視聴者からは、「一つひとつの言葉に経験に裏打ちされた深さがあって、朝から心を打たれます。草刈さんの言葉に涙が止まらなくなってしまった回もありました」(60代主婦)「一見強面で近寄りがたいのに、なつへの大きな愛情を感じさせる草刈さんの演技がすごい。なんであんなに響くのでしょうか…」(50代主婦) といった声も寄せられている。◆幼少期に苦労した草刈だからこその演技 草刈自身、雑誌のインタビューでこう述べる。《せりふがいちいちいいんですよ。僕も年を取って泣き虫になったから、胸にきて、すぐに涙ぐんじゃいます》 だが泰樹のセリフが刺さるのは、“草刈が演じるから”という理由もある。 なかでもドラマファンが思い浮かべるのは、2016年の大河ドラマ『真田丸』で草刈が演じた真田昌幸だ。「堺雅人さん(45才)が演じた主人公・真田幸村の父親である昌幸は、人間味あふれる言葉で主人公を成長させる役柄で大人気となり、堺さんより目立っていると話題になりました。実は『なつぞら』には『真田丸』と同じスタッフが入っていて、昌幸の衣装や雰囲気を上手に取り入れています。実際に『真田丸』で昌幸がしゃべったセリフを泰樹が口にするシーンまであるんです」(NHK関係者) 制作サイドの狙いは見事に的中。『なつぞら』でも草刈は主演に負けないほど注目されることになった。 草刈がリアルに歩んだ半生も演技ににじみ出る。「草刈さんは母子家庭で育ち、幼少期にすごく苦労をされたそうです。そのなかでも『ありがとう、ごめんなさいと素直に言える人になりなさい』というお母さんの教えをずっと胸に抱いてきた。親が小さい頃に諭した言葉が持つ意味を知っているからこそ、厳しいながらも慈愛に満ちた泰樹の演技ができるのでしょう」(前出・NHK関係者) 朝ドラはまだまだ始まったばかり。この先も「“草刈”おんじ」の深くて泣けるメッセージに耳を傾けたい。※女性セブン2019年5月2日号
2019.04.22 07:00
女性セブン
草刈正雄
「逃げだしゃいい」朝ドラ草刈正雄のセリフに救われる視聴者
 毎朝8時15分を過ぎた頃、SNSには次のような投稿があふれる。〈今朝も感動しました!〉〈涙があふれて、字幕が読めませんでした〉。すっかり朝の「泣ける」ドラマになっているNHK連続テレビ小説『なつぞら』。中でも、草刈正雄(66才)の演技とセリフに感動する視聴者が多いのだ。 草刈演じる柴田泰樹は、ヒロイン・なつ(広瀬すず)が引き取られた北海道・十勝の柴田家の重鎮。18才の時に十勝にたったひとりで入植して荒れ地を切り開いたという人物で、偏屈で頑固な性格だが深い愛情をもった「大樹」のような男として描かれる。 30~40代の視聴者がグッときたというのは第4話。牛舎で朝から晩まで必死に働いたなつに泰樹が甘いアイスクリームをふるまい、こう諭すシーンだ。《ちゃんと働けば必ずいつか、報われる日が来る。報われなければ働き方が悪いか、働かせる者が悪いんだ。そんなとこはとっとと逃げだしゃいいんだ。だがいちばん悪いのは、人がなんとかしてくれると思って生きることだ。人は人を当てにする者を助けたりはせん。逆に自分の力を信じて働いていればきっと誰かが助けてくれるもんだ》「逃げだしゃいいんだ」という言葉に救いを感じたという声も多かった。『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)の著者でライターの木俣冬さんはこう話す。「『逃げちゃダメだ』という考え方もありますが、現在は、『一生懸命やっても報われなかったら、場所を変えてもいいんだ』という時代です。ブラック企業も多く、そこから逃げずに頑張りすぎると追い詰められてしまう。『なつぞら』は戦後すぐの物語ですが、現代の価値観もしっかり取り入れています」 この言葉に涙するなつに、再び泰樹が力強く語りかける。《お前はこの数日本当によく働いた。そのアイスクリームはお前の力で得たものだ。お前なら大丈夫だ。だから無理に笑うことはない。謝ることもない。お前は堂々としてろ。堂々とここで生きろ》「なつは人の顔色を見て、ニコニコしてかわいがってもらったり、かわいそうと思われることで生きてきました。現代にも無理して笑って過ごす人がいるし、最近の朝ドラのメッセージも『つらい時こそ笑おう』というものが続きました。 でも泰樹は、『無理に笑わないで自分の感情を出しなさい』となつに伝える。つらい時はがまんしなくていいんだよという彼の優しさを感じます」(木俣さん) 泰樹の言葉は、叱咤激励だけでなく、端々に「未来への思いやり」を感じさせる。「バターを作りをはじめる時、『なつのために作るんだ』と語り、土地の耕作についても『何年かかっても豊かな土地にする』と断言します。泰樹が常に“未来を担う子供たちのことを考えよう”と口にすることからは、少子化で未来を感じられない現代だからこそ、大人たちが子供のためを考えるべきじゃないかとのメッセージも感じます」(木俣さん) 自分のことではなく、なつや未来を担う子供たちのことを視界に入れた言葉だからこそ、泰樹のセリフは人々の胸に突き刺さるのかもしれない。※女性セブン2019年5月2日号
2019.04.21 16:00
女性セブン
バラエティからドラマなど出演の多いウッチャン
『なつぞら』内村の語りが好評、朝ドラらしからぬ理想の父か
 通算100作目となるNHKの連続テレビ小説『なつぞら』が好調だ。第1週の平均視聴率は22.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録し、過去5年の朝ドラで最高の出だしとなった。 そして、「ナレーションでこんなに泣けたのは朝ドラ史上初めて」と評判なのが内村光良(54才)だ。4月10日放送の第9話では、ナレーションの内村がなつの父親であることが明らかになった。 それまで温かみのある声で「なつよ…」と語りかけるナレーターの正体は不明だった。幼少期のなつが戦死した父親からの手紙を読み上げるシーンで、なつの声が徐々に内村の声に変わるという演出だった。「内村=なつの父親」という設定は極秘事項だったが、実は昨年の紅白歌合戦で“思わずポロリ”したシーンがあった。「今思えば紅白の本番中に総合司会の内村さんが『なつぞらの語りを担当します』としゃべった際、紅組司会の広瀬さんが『お父さん役です』と口にしたんです。突然のネタバレに慌てた内村さんは声を張って、『頑張ります! 頑張りたいと思います』と広瀬さんの“失言”をかき消そうとしていました」(紅白関係者)『なつぞら』では、広瀬すず(20才)演じるヒロイン・なつが引き取られた北海道・十勝の柴田家の重鎮である柴田泰樹を演じる草刈正雄(66才)も好評だ。『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)の著者でライターの木俣冬さんはこう話す。「内村さんと草刈さんは、理想のお父さんとおじいさん。朝ドラはダメ父が多かったけれど、内村さんは天国から娘をそばで見守る役柄で、とても温かみがあります」 内村ならではのユーモラスな語り口にも注目だ。「第2話の終わりでは、『それがなつが踏み込んだ初めての酪農の世界でした。なつよ、モ~こうなったら頑張れ!』というナレーションがあり、彼のコント・ミル姉さんを思い出しました(笑い)。これからもクスッと笑っちゃうような面白い語りを聞かせてもらいたいですね」(木俣さん) 3年連続の紅白総合司会もモ~間違いない!※女性セブン2019年5月2日号
2019.04.19 07:00
女性セブン

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