スポーツ

貴乃花が述懐 曙や武蔵丸の「大きさ」と千代の富士の「重さ」

貴乃花氏が「理想の横綱」として仰ぎ見た力士は?(写真は2001年5月場所/共同通信社)

貴乃花氏が「理想の横綱」として仰ぎ見た力士は?(写真は2001年5月場所/共同通信社)

 4年半ぶりとなる新横綱として、大相撲9月場所の土俵に上がった照ノ富士は、「令和初の新横綱」だ。一方「平成の大横綱」といえば、2018年10月に相撲協会を退職した貴乃花光司氏だ。大相撲の歴史には、69連勝を記録した双葉山、一代年寄を襲名した大鵬、北の湖、千代の富士(辞退して九重を襲名)ら、数々の大横綱がいる。貴乃花氏が「理想の横綱」として仰ぎ見た力士はいたのだろうか。話を聞いた。

 * * *
 歴史に名を刻む大横綱の映像を見ると、双葉山関なら完全な右四つの型があったし、北の湖理事長なら相手が誰でも吹っ飛ばす破壊力があった。ただ、それを真似しようとは考えませんでした。“対戦したらどんな展開になるかな”と研究する対象になっていた。誰かを真似るのではなく、自分の良さを引き出したいと考えてやっていました。

 1991年5月場所では、千代の富士関と対戦して金星をあげることができましたが、まさに全身が筋肉に覆われている印象で、ぶつかっても肌が硬かった。本場所では一度しか対戦できませんでしたが、その後も千代の富士関のような硬さの力士と対戦したことはありません。ライバルだった曙関や武蔵丸関から“大きさ”を感じたとすれば、千代の富士関からは“横綱の重さ”を感じました。

 よくアドバイスをいただいたのは大鵬親方です。

 相撲の話というよりは、いろんな世界の人とのお付き合いの話が多かった。「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた人気横綱でしたから、政財界の重鎮と交友があり、高い見識のある方でした。ただ、巨人と並び称されることには「相撲は個人競技だから、野球のような団体競技よりつらいよな」とボソッと話されていた。大鵬親方も横綱が逃げ場のない孤独な地位だと感じていたのだと思います。

 野球選手は3割打てば一流ですが、横綱は勝率8割を切ったら引退を考えないといけない。北の湖理事長は“横綱の勝ち越しは12勝”とおっしゃっていました。しかも、平幕には負けられない。自分が負けた後に座布団が舞ったり、うなだれているところに座布団が当たったりすると余計に心が痛みます。

 一方で、自分が負けて喜んでいるお客さんがいると、入門した時に師匠から「負けて喜ばれる存在にならないと力士をやっている意味がないぞ」と教わったことを思い出したりもしました。花道を下がりながらいろんなことを考えるわけです。

※週刊ポスト2021年10月1日号

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン