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自由求めた団塊の「孤舟族」は過酷に暇で妻にも捨てられる

 新語アナリストの亀井肇氏が、これから世の中に浸透しそうな言葉を先取り紹介。「孤舟族」という言葉を同氏は紹介しているが、これについて解説する。
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【定義】小説家・渡辺淳一の最新作『孤舟』の主人公と同じような孤独な状況に陥っている定年退職後の身の置きどころの無い男性たち。

【居場所なし】主人公の威一郎は大手広告会社の役員だったが、定年前に示された出向先に不満があり辞表を出してしまう。定年後は「俺だけの時間」を楽しもうと思っていたが、趣味もなく、奥さんには毎日家にいることで煙たがられ、地域活動しようと思っても役員だった時の日ごろの横柄な物言いが原因で周りの人間から嫌がられてしまう。

【主人在宅ストレス症候群】奥さんにとっては、これまで亭主は会社に出かけていて、自分の時間を持つことができた。しかし、亭主が会社を辞めて1日中家に居られてひとつひとつ文句をつけられると、ストレスが高じることになる。鬱状態が続き、医者からは「主人在宅ストレス症候群」と告げられ、娘と一緒に家を出ていくことになる。

【過酷なひま】会社中心の生活しか過ごしていない者にとって、そこから離れてしまうと一体自分はどのように暮らせば良いのかわからなくなってしまう。渡辺はこうした状態を「独居房に押し込められているかのような『過酷なひま』」と表現している。

【孤舟】まさに国語辞書に定義されている「孤舟」─「水上にただ1そうだけ浮かんでいる舟」そのものである。どこを見渡しても仲間はいなく寂しい存在なのだ。

【蛇足】「団塊の世代」にとっては切実な問題。

※SAPIO2010年12月15日号

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