国内

安藤忠雄 若者はダメと指摘し、高齢者死んだ後の日本を心配

 大学で教鞭を取り、学生と触れ合う機会も多い建築家の安藤忠雄氏(69)が、日本人、とりわけ若者の元気の無さを嘆いている。世界を股に活躍する安藤氏が提示する、日本人が進むべき道とは?

 * * *
 ここ数年、各地の大学で講演を行い、「1980年以降に生まれた人たちはダメだ」という問題提起をしています。バブルに沸き立っていた頃、日本が未来永劫に経済大国として発展していくものと誤解した親たちは、子どもたちを過保護に育てました。

 その子たちにはまるで自立心がない。こう言うことで、せめて10人に1人か2人でも、「何を言うか」と反発してくる元気な若者が出てくるのではと期待しているのですが、我々に意見や文句を言うほど気骨のある者は、今の日本にはほとんどいません。近頃の若者は幼稚園の時から試験、試験で、一流大学を目指してひたすら猛勉強し、いざ大学に入った頃にはもう意識朦朧としている。こんなことで「責任ある自立した個人」など育つはずもなく、今は政治家も官僚もマスコミも国民も悪い。
 
 だいたい最近の日本人には迫力がない。「自分がこの国を背負っていくんだ」という気概のある人がどこにいます? 迫力のあるのは70、80の老人ばかりで、彼らがこの世を引退したら日本は相当に困ると思う。今の日本人に必要なのは夢と希望です。個人が、企業が、そして政府が目標をしっかりと定めて、それぞれ成すべきことは何か、真剣に考えなければいけません。
 
 そこで生じる責任感が“生きる力”を生み出します。そしてお互い自立した個と個が助け合い、かつ緊張感を持ってほしい。責任回避型の会議ばかりするのではなく、自分にできることを自分でとことん考えて実行すること。つまり迫力ある人は心ある人ともいえる。

 カネではなく心で勝負する気概、そして表面的ではない愛情と礼儀を、何とか日本人が今からでも取り戻せるといいのですが。

※週刊ポスト2011年1月7日号

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