国内

4月の統一地方選「自民の勝利と見るのは無理ある」との指摘

 4月の統一地方選の構図は民主党と自民党の対決ではなかった。大阪の府と市を合併させる「大阪都構想」を掲げた橋下徹・大阪府知事率いる大阪維新の会や、「減税」と「議員給与半減」を唱える河村たかし・名古屋市長の減税日本など、地方から日本の既得権を壊し、統治の仕組みを変えようという急進改革派が大躍進し、既得権益を守りたい大メディアを含めた大連立派との対立構図が次第に鮮明になっている。

 民主党のなかで改革派と気脈を通じるのは、「日本維新の会」を立ち上げた原口一博・前総務相や、河村氏と連携する小沢一郎・元代表ら、現執行部と距離を置くグループだ。
 
 だから「既得権派」を支える大メディアは、今回の結果を見ても「橋下知事敗北宣言」「減税日本は伸び悩み」と、首を傾げたくなる評価をしているのである。

 政治ジャーナリスト・野上忠興氏がこう分析する。

「既成政党が首長新党とぶつかった大阪、愛知では自民も民主も惨敗した。これは震災があっても、困難な改革でも約束したことは実行するという首長たちの政治姿勢に対する有権者の期待が変わっていないことを示している。

 自民の勝利と見るのは無理がありすぎる。むしろ自民党は野党になってジリ貧だから、本音では早く政権に加わり、震災復興事業のうまみを得たいと焦っている。今の与野党の関係は、大連立の主導権を握りたい者たちのチキンレースのようなものです」

 大連立派が目論む菅首相の退陣が成功するかどうかのカギを握るのは、実は仙谷氏ではなく、党内の約半数を占める反執行部派の動向だ。4月12日、鳩山由紀夫・前首相と会談した小沢元代表は、その翌日、ついに菅首相に退陣を迫る声明を出して“倒閣”の狼煙を上げた。

 菅グループ議員が語る。

「今は小沢さんとモメる余裕はない。総理は復興構想会議に小沢側近の達増拓也・岩手県知事を入れ、小沢さんとのパイプをつなごうと必死だ。4月末には内閣改造と党人事を行ない、岡田幹事長を震災復興相に据えて幹事長ポストを小沢派に渡し、党内融和をはかるのが得策だろう」

 今度はポストで反対勢力を釣ろうというわけだ。法案もポストも、あろうことか震災復興という国家的大事業まで自分の権力を守るための道具にする総理大臣に、明るい明日などあるはずもない。

※週刊ポスト2011年4月29日号

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