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遺体捜索自衛官 遺体女性の身体を男性の目から隠すため服直す

 SAPIOは東日本大震災と闘う自衛官とその家族、OBたち120名に対して取材を行なった。ここにあるのは、日本人が忘れてはいけない「3.11後」を支えた人々の「奮闘の記録」である。今回は岩手県釜石市鵜住居(うのすまい)地区で遺体捜索活動にあたった陸上自衛隊第9師団第9高射特科大隊の2名の女性隊員のエピソードを紹介する。

 * * *
 岩手県釜石市鵜住居地区。27歳の尾崎淳美3曹は男性隊員10数名とともに行方不明者の捜索を行なった。

 大型バスと瓦礫の間に挟まれるようにして横たわる遺体が見つかる。近づくと、尾崎3曹と同世代の女性だった。

「ショックでした。ロングヘアで、ネイルアートがきれいに施されて……。『自分と同世代の女性がなぜこんな目に?』と思い、いたたまれなくなった」

 尾崎3曹は遺体に声をかけた。

「寒かったでしょう? すぐに助けてあげるからね」。

 瓦礫を持ち上げ、遺体を引き出すと、女性が着ていた薄手のカーディガンは所々が破れ、ブラウスは乱れていた。とっさに「男性の隊員に身体を見られたくない」と思い、彼女の服装を直した。そして、遺体の瞼を閉じ、両腕を胸元で重ねてから毛布でくるんだ。

 同じ部隊で任務にあたった22歳の女性自衛官・若林水輝士長は、

「ご遺体が見つからない方が多かったので、『やっと遺体がめっかった』というご遺族のほっとしたような声を聞いた時は、少しでもお役に立ててよかったと思いました」

 と語った。失われた命は無念だが、彼女たちに発見されたことがせめてもの救いだろう。

※SAPIO2011年8月17日・24日号

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