自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
占い師の女性が男性2人をそそのかし、入水自殺させた——そんな衝撃的なニュースが報じられたのは今年3月のこと。大阪府在住の自称占い師・濱田淑恵被告(63)とその信者の女2人が、AさんとBさんに対し、自殺をそそのかして死亡させたなどとして逮捕・起訴された。
事件は2020年に和歌山県の海岸にて男性2人の遺体が見つかったことで発覚し、当初警察は事件性なしと判断していたが、別件の事件捜査の過程で改めて捜査対象となった。濱田被告は自らを「創造主」と名乗り、信者をマインドコントロール下に置いていたなど、その異様で不可解な状況から世間の関心を集めていた。
8月1日の裁判では、事件に関与したとされる信者2名が法廷に立った。読み上げられた2人の起訴事実の内容は、事件全体の異様性、そして“創造主”濱田被告の強欲さを強烈に示していた——裁判ライターの普通氏がレポートする。【前後編の前編】
「死ぬのに躊躇したら互いに沈め合え」
「自称・創造主」である濱田被告とともに、男性2人が入水自殺した件で逮捕された女性信者は2人。滝谷奈織被告(59)と寺崎佐和子被告(47)だ。
2名にかけられている罪状は異なり、自殺の現場に居合わせた滝谷被告は自殺幇助の罪で、現場にはいなかった寺崎佐和子被告は有印私文書偽造・同行使罪で起訴されている。2人の公判は同日、別の時間に行われた。9月以降も別々に審理が予定されており、それぞれの視点、立場でこの異様な事件がどのように語られるかが注目される。
自殺幇助の罪に問われている滝谷奈織被告は、黒いジャケット、黒いシャツ姿で入廷。表情に疲れを滲ませていたが、真っすぐ正面を向き、検察官の起訴状の読み上げを聞いていた。
起訴状によると、令和2年7月31日、濱田被告が、滝谷被告と被害者男性2名の計3名に対して「決行します」などと告げ、それぞれに自殺を決意させたという。当初は滝谷被告も、2人の男性信者とともに自殺する予定だったようだ。濱田被告も、共に自殺する意向を話していたとみられる。