日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
メジャー帰りの剛腕が“復活”を果たした。8月31日の中日戦、日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(31)。7回無失点の好投だったが、相手打線に「異変」がみられた。
右打者の頭部に抜ける剛速球の危険を回避するため、左打者を8人並べる変則打線だったのだ。藤浪の復帰初登板(8月17日)も中日戦で、この時は投手を含めてスタメン全員が左打者。2戦連続で藤浪の登板を“ぶつけられた”格好だ。
「チームからは“なんでウチばっかり”と嘆く声が聞こえてきます。それでもマウンド上の藤浪は平然としていた。記者席では『こうなったら引退表明した大阪桐蔭の先輩・中田翔を右打席に立たせるしかない』とブラックジョークが飛んでいました」(ドラゴンズ番記者)
初勝利とともに通算1000投球回の表彰もあったが、中日ファンのブーイングで完全に“ヒール”と化した藤浪。一方でDeNAの三浦大輔監督のしたたかさを評価する声も聞こえる。
「シーズン終盤、CSを争う中日に荒れ球の藤浪を連続してぶつけて相手のリズムを崩した。残り試合も三浦監督はAクラスを争う巨人、広島、中日戦で“最終兵器”ともいえる藤浪を投げさせる可能性が高い。復帰したばかりの巨人の右の主砲・岡本(和真)に死球を与えでもしたら、大乱闘になりかねない」(スポーツ紙デスク)
シーズン終盤、藤浪は強力な“劇薬”になるか。阪神、大洋(現・DeNA)でマスクを被り、コーチも務めた「ダンプ」こと辻恭彦氏の見方は興味深い。
「藤浪の荒れ球は右打者の頭部に向かってシュートするのでそりゃ怖い。腰が引けて当然です。ただしあれは受けるキャッチャーも大変。構えたところに来なくて曲がるかどうかもわからないので、捕り損ねて指を痛める懸念も大きい。“捕手殺し”の一面もあるわけです」
味方さえも恐れる藤浪のボールが、シーズン終盤、そしてセのCSの行方を左右しそうだ。
※週刊ポスト2025年9月19・26日号
藤浪晋太郎(時事通信フォト)