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萬田久子 亡き夫との「終の住処」建築工事が無念の中止

 高級住宅街として知られる東京・自由が丘。遊歩道の美しい桜並木も、いまはどこか寂しげに色づき始めた葉を揺らしていた。その閑静な住宅街の中に、無機質なフェンスで区切られた更地がぽっかりとあった。

 ほんの2か月前までは、「RSHM RESIDENCE」と名づけられた建物の建築計画表がこのフェンスに貼り出され、確かにこの地で工事が進められていた。建物は、アパレルメーカー『リンク・セオリー・ジャパン』の元社長兼CEOの佐々木力さん(享年60)と女優・萬田久子(53)のイニシャル(Rは佐々木さんの愛称「リッキー」)からとって名づけられたふたりの新居となるはずだったのだが…。

 もともと佐々木さんが所有していた一軒家に隣接する土地を数度にわたって買い増ししてきたこの土地。いびつな形をしているものの、広さは180~200坪にもなっていた。そしてここに地中熱システムを取り入れた地下1階、地上3階建てという、萬田たちにとっては“終の住処”ともいうべき新居が建つ予定だった。

 東京・渋谷に4億円ともいわれる超高級マンションをキャッシュで購入し、工事中の仮住まいも決まり、何もかも順調に見えたが、ここから萬田の周りで事態が暗転していく。まず今年5月に工事をストップせざるをえなくなってしまった。

 地中熱システムを導入するためには、地下100mまでボーリング工事をしなければならなかったのだが、これがすさまじい騒音を伴い、近隣住民から苦情が相次いだのだ。近所の住民はこう話す。

「どれくらいすごいかって、地震と間違うくらい揺れを感じるんだから」

 さらに、その土地がかつて沼地で地盤が不安定な場所だったことが、萬田たちに追い打ちをかけた。

「あんな広い土地を掘り起こして水でもあふれてきたら、周りはみんな巻き添えになる。これは大変だと、みんなで萬田さんに見直してほしいと訴えたんです」(別の近所住民)

 しかし、話し合いはまとまらず、6月には住民側が区に直訴をしたために、工事は中断を余儀なくされた。

 萬田にとってさらなる不幸が続く。佐々木さんが体の異変を訴えたのだ。精密検査を受けた結果、末期の胃がんであることが判明。余命はわずか1か月という、あまりにもつらすぎる宣告だった。しかし夫の回復を信じる萬田は住民トラブルを乗り越え、再び自宅の建設を断行する。

「萬田さんは佐々木さんが亡くなるなんて考えられませんでした。絶対に回復すると信じて、ふたりで暮らす終の住処をどうしても完成させようと必死な思いでした」(萬田の知人)

 しかし、佐々木さんは8月9日にこの世を去ってしまう。

「亡くなったということをテレビで知りました。そしたら、あれほどうるさかった工事がぴたりと止まったんです。10月12日にいまみたいに更地になるまで、ずっとそのまま。萬田さんもお悩みだったのでしょうか」(別の近所住民)

 結局、業者が住民に工事中止を告げに来たのは、2か月後の9月27日のことだった。今後については、工事を請け負っている業者も知らされていないという。

「現状は工事を行わないという意向のようです。今後のことはご家族と相談して決めると、萬田さんは説明しているそうです」(工事関係者)

※女性セブン2011年11月3日号

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