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人気のマクロビオティック 起源は明治時代の「食育」だった

「食育」という言葉が、一般的に認知されるようになったのは比較的最近のことだが、この単語は明治時代の医師・薬剤師であった石塚左玄が著作の中で「体育智育才育は即ち食育なり」と造語したのが最初といわれている。

 100年以上昔ではあるが、炭水化物・脂質・たんぱく質を重視した当時の栄養学に対し、ミネラルの重要性を指摘。白米ではなく、玄米を推奨するなど、現代のマクロビオティックは石塚の提唱した栄養学の流れを汲んで、食文化研究家の桜沢如一が考案したものである。

 改めて「食育」と身構えなくとも、身体を作る「食」の重要性を否定する人はいないだろうし、特に成長段階にある子供の場合、健康はもとより嗜好を決める大切な時期に、どういった食習慣を身につけるかは“将来を左右する”ともいえる。

「学校保健統計調査」によると、1977年では12歳の男子の肥満傾向児の割合が6.6%に対し、30年後の2007年には12.4%とほぼ倍増。その後、多少の改善があるとはいえ、“子供の生活習慣病対策”は課題だという。

 また子供に限らない話としては、2010年に農林水産省が行なった「食生活に関するアンケート結果」では、約7割が野菜を「十分摂っている」「だいたい摂っている」と回答。しかし2009年に厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査結果」では、1日の野菜の摂取目標350gに対して、最も多い60代でも339.6g、最も少ない20代では241.9gと、全年代が目標値に達していない。これは意識的に“バランスの良い食事”をしているつもりでも、不足している栄養があったり、通常の食生活では摂りにくい栄養素があるということ。

 不足しがちな食物繊維や栄養が摂りやすい「子供に食べさせたい料理」の頭文字を並べた、「オカアサンダイスキ」「ママステキ」という言葉を見たことがあるだろうか。

オ:おから
カ:かば焼き
ア:小豆ごはん
サン:サンマの塩焼き
ダ:だし巻き卵
イ:芋
ス:寿司
キ:キンピラゴボウ

マ:松茸ごはん
マ:丸干しイワシ
ス:すき焼き
テ:天ぷら
キ:切干し大根

 これらは一部を除いて、いまどきの子供が好んで食べるものではないメニューが多い。現代ではサプリメントなどで補う方法がないわけではないが、子供の場合はやはり「食」を通じて栄養を摂る習慣を身につけさせたい――と考える親は多いだろう。しかし“おいしく食べて欲しい”と思う親心と栄養バランスは、両立が難しいケースも。

 栄養に対する前提条件に大きな違いはあるが、終戦後に政府の指示で国民の栄養改善を目的とし、ビタミンB1を加えた「強化米」が京都大学農学部栄養科学研究室で開発された。現在では、ビタミンB1のほか、ビタミンB2・B6、ナイアシン、葉酸、鉄分などを付加した「強化米」が発売されており、学校給食で使用されているほか、栄養バランスを強化したいスポーツ選手や自衛隊などでも活用。

 昨今では玄米などに比べ、“混ぜて炊くだけ”“クセがない”“主食で栄養素が補える”といった手軽さもあり、食が細くなった高齢者向けの食事としても、再び注目され始めている。また昨年の震災では、阪神淡路大震災と比較して避難所が広範囲に散在したことから、提供される食品が炭水化物に偏りがちとなり、栄養素の不足が一時深刻な状態となった際にも活用されたという。

 こうした形で自然に栄養を補完する方法もあるが、2012年はオリンピックイヤー。スポーツ選手こそ栄養は重要だが、意外と偏食のエピソードも。メダルが期待される選手のひとり、体操の内村航平選手がチョコレート菓子を大量に持ち込んだエピソードは有名だが、もちろんそれだけを食べるわけではない。普段から食べている好物を口にして、“平常心を保つツール”として活用しているのだ。

 スケートの高橋大輔選手や女子柔道57Kg級の松本薫選手など、ケガをきっかけに「食」を改善したというエピソードも多くある。オリンピックを応援しながら、「こんな選手になりたい」と夢を持つ子供たちが増えるであろう今年。「○○選手みたいに強くなるのに、食べてみようか?」といった、食わず嫌い克服のきっかけなど、夢を叶えるための身体を作る「食」を身につけるチャンスも増えるかもしれない。

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