国際情報

勝谷誠彦 北朝鮮のミサイルがもたらした中国外交の“明暗”

『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子…など、様々なジャンルで活躍する論客が、毎号書き下ろしで時事批評を展開する。本サイトでは4月20日に配信された12号より「勝谷誠彦の今週のオピニオン」を公開する。

 * * *
 外交が上手くいっていない今の中国にとって、インドとパキスタンが急接近していることも不愉快だろう。「敵の敵は味方」であって、インドと地域覇権を争う中国としては、パキスタンを影響下にとどめておきたいはずだった。ミャンマーと同じく「海への出口」でもある。それがインドと結ばれてしまえば、戦略は大きな変更を余儀なくされる。

 外交とは武器を使わない戦争だ。実際の戦争と同じく、相手が弱ってきたと見ると、攻める側はカサにかかって攻撃する。南シナ海では、中国におされっぱなしだったフィリピンが反転攻勢に出始めた。災害派遣を名目に、アメリカと大規模な合同軍事演習をしたのだ。これには日本の自衛隊からも幹部が参加している。日、米、比が手をたずさえて対抗する相手が、災害ではなく中国であることは明らかだ。

 こうして各地で守勢にまわっている中国としては、北朝鮮の振舞いはいまいましくて仕方がないに違いない。実は、北朝鮮のミサイル発射で、もっとも得をしたのは日本だった。これを奇貨としてあっという間に沖縄に自衛隊を展開したのだ。先の戦争のいきさつや基地問題もあって、沖縄では反軍感情がまだ強い。しかし、テポドンから国土を護るためだと言われれば、自衛隊を拒むことは難しい。

 かくして中国が虎視眈々と狙う「第一列島線」への自衛隊の配備が一気に出来たのだ。いったんは撤収したものの、これでアレルギーはかなり緩和され、今後の展開はずっと楽になった。

 これまでと違い、国連での北朝鮮への非難に中国が同調したのは、いかに頭に来ているかということを示している。

※メルマガNEWSポストセブン12号

関連記事

トピックス

米倉涼子(時事通信フォト)
「何か大変なことが起きているのでは…」米倉涼子、違約金の可能性を承知で自らアンバサダー就任のキャンセルを申し出か…関係者に広がる不安がる声
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された天皇皇后両陛下(2025年10月6日、撮影/JMPA)
《2回目の万博で魅せた》皇后雅子さまの気品を感じさせるロイヤルブルーコーデ ホワイトと組み合わせて重厚感を軽減
群馬県前橋市の小川晶市長(共同通信社)
「ドデカいタケノコを満面の笑顔で抱えて」「両手に立派な赤ダイコン」前橋・小川晶市長の農産物への“並々ならぬ愛”《父親が農民運動のリーダー》
NEWSポストセブン
萩生田光一元政調会長が幹事長代行へ起用(時事通信フォト)
《SNSで非難轟々》“裏金議員”萩生田光一氏が党執行部入りの背景 永田町関係者が明かす“総裁選での暗闘”と「香水がとてもいい香り」の珍評価
NEWSポストセブン
巨人の阿部慎之助監督(左)とDeNAの三浦大輔監督
セ2位DeNA・三浦監督は勇退で3位巨人・阿部監督は続投でいいのか? 御意見番・広岡達朗氏は「三浦は偉い」「阿部は三浦が辞めた意味すらわかっていないんじゃないか」
週刊ポスト
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(共同通信)
《やる気スイッチ講師がわいせつ再逮捕》元同僚が証言、石田親一容疑者が10年前から見せていた“事件の兆候”「お気に入りの女子生徒と連絡先を交換」「担当は女子ばかり」
NEWSポストセブン
“ATSUSHIものまね芸人”として活動するRYO
【渦中のRYOを直撃】「売名じゃない」橋幸夫さん通夜参列で炎上の“ATSUSHIものまね芸人”が明かした「反省」と「今後」…「100:0で僕が悪者になっている」との弁も
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月7日、撮影/JMPA)
《再販後完売》佳子さま、ブラジルで着用された5万9400円ワンピをお召しに エレガントな絵柄に優しいカラーで”交流”にぴったりな一着
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷が“即帰宅”した理由とは
《ベイビーを連れて観戦》「同僚も驚く即帰宅」真美子さんが奥様会の“お祝い写真”に映らなかった理由…大谷翔平が見計らう“愛娘お披露目のタイミング”
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《山瀬まみが7ヶ月間のリハビリ生活》休養前に目撃した“スタッフに荷物を手伝われるホッソリ姿”…がん手術後に脳梗塞発症でICUに
NEWSポストセブン
歴史ある慶應ボート部が無期限で活動休止になったことがわかった(右・Instagramより)
《慶應体育会ボート部が無期限活動休止に》部員に浮上した性行為盗撮疑惑、ヘッドフォン盗難、居酒屋で泥酔大暴れも… ボート部関係者は「風紀は乱れに乱れていた」と証言
NEWSポストセブン
京都を訪問された天皇皇后両陛下(2025年10月4日、撮影/JMPA)
《一枚で雰囲気がガラリ》「目を奪われる」皇后雅子さまの花柄スカーフが話題に 植物園にぴったりの装い
NEWSポストセブン