グラビア

“永久保存”函館の贅沢角打ち いか刺しと鮭とばを肴に

「お帰りぃ」。いつもこの言葉で迎える3代目・瀧澤真理子さん(写真右)

 昭和の時代にこの店に通っていた客は、おそらく青函連絡船のせつない汽笛を肴にして飲んでいただろう。そう思わせるほど、JR函館駅や函館港とは至近距離にある立ち飲みの出来る酒屋さんが、『丸善滝澤(まるぜんたきざわ)商店』だ。

 この店ののれんをくぐると、だれもが「お帰りぃ」の言葉に迎えられる。これでもう、飲む前から気持ちよくなってしまうのだが、その声の主は、3代目を守る瀧澤博(62)、真理子(61)夫妻。
 
「私が女子高生だった頃から来てくれている人もいるしねえ。お客さんたちはみんな、うちに帰ってくるようなもんだもの。いらっしゃいよりは、やっぱり、お帰りぃがぴったりでしょ」と、真理子さんは函館弁を交えながら笑う。

「職場から我が家の前を通り過ぎて飲みに来てるんだ。日課になってるから面倒じゃないよ。計算したら、おれ、ここに来てもう50年近くになるぞ」という68歳。「通い始めの頃は、だんなが後片付けしてるのを横目に、ママに人生相談の相手をしてもらって、いつも11時過ぎまで飲んでたなあ。店は10時までなのにね」と照れる、こちらは10年目になる52歳。

 そんな彼らも含めて、リタイヤ組や現役サラリーマンたちが、まさに家族のような雰囲気で12~13人規模のカウンターを取り囲んでいる。そのカウンターがわけありで、床から110cmと、意外なほどに高い。

「低かった当時は、酔うとみんな肘をここについて寝ちゃうのよ。だから古くなった木造の店を平成2年に建て替えたときに、この高さにしたのね。これだと、しゃきっと背筋を伸ばして飲んでもらえるからいいんです」(真理子さん)

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン