芸能

勘三郎さんの家族“肺移植”希望したが医師「厳しい」と判断

 12月5日、急性呼吸窮迫症候群のため、中村勘三郎さんが都内の病院で亡くなった。57才だった。

 勘三郎さんは7月27日、食道がんの手術を受け、無事成功。翌日にはICU内を動きまわるほど回復しつつあったが、8月末に重い誤嚥性肺炎を患ってしまう。

 肺治療のため転院した勘三郎さんだったが、ここでも病状は快方には向かわず、さらに重篤なARDSを発症してしまう。ARDSとは“急性呼吸窮迫症候群”のこと。今までに体験したことのないような呼吸困難が起こり、体内に酸素が取り込めなくなって呼吸不全に陥る病気だ。

 このARDSを発症したことで、勘三郎さんの容体は、エクモと呼ばれる体外式膜型人工肺を使わなければ、体内に酸素を送れない、いつ心肺停止してもおかしくない重篤な状態に陥ってしまう。

 そんな勘三郎さんの姿を見て、再起のために家族が下した決断は、日本ではまだ200例ほどしか実績のない治療──“肺移植”だった。

「勘三郎さんの肺は小さく縮まって、もうまったく機能していない状態になっていたんです。そのために家族は、別の肺を移植する方法を望んだんです」(梨園関係者)

 信州大学医学部付属病院 呼吸センター長・久保惠嗣氏がこう説明する。

「肺移植を受ける人には、さまざまな適応条件があります。両肺の場合、55才未満、片肺で60才未満と原則決められており、また移植後の治療の必要性を理解し、本人に加え家族にも環境作りができるといった厳しい条件もあります。

 また移植後に、肺が拒絶反応を起こします。これを防止するための薬を一生服用しなければならない場合もあります。大きな手術のため、合併症を起こすなど、リスクも少なくありません」

 それでも勘三郎さんの家族は“肺移植”を望んだ。ただただベッドで管につながれ衰弱していく姿を見るのはつらかった。どんな方法でもいい、夫が、父が助かるのならその治療に賭けてみよう、そんな家族の最後の決断だった。しかし、その願いは届かなかった。

「勘三郎さんは高齢ですし、長引く闘病の影響で体力が低下していて、移植手術に耐えられる肉体ではなかったようです。すでに他の内臓も弱くなっており、もはや肺だけ移植しても意味がないという状況で、医者からは“肺移植は厳しい”と告げられたそうです…」(前出・梨園関係者)

 医師の言葉は、家族が抱いていた一縷の望みを砕く“最終宣告”だった。

※女性セブン2012年12月27日・2013年1月1日号

関連記事

トピックス

趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト