江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
阪神の大エースだった江夏豊氏(77)と西武、ダイエー、巨人を日本一に導いた“優勝請負人”の工藤公康氏(62)。球界を代表するレジェンド左腕の2人だが、江夏氏がキャリア最終盤に西武に在籍した頃からの知られざる「師弟関係」があった。工藤氏が江夏氏の「起床係」をしていた当時の思い出を語り合った。【全3回の第1回】
緊張の「起床係」
江夏:坊や(工藤)と初めて会ったのはいつやった?
工藤:僕が西武入団3年目の21歳だったので、今から41年前ですね。
江夏:もうそんな経つか。
工藤:「坊や」と呼ぶのは江夏さんだけですよ。以前、ソフトバンクのキャンプにいらしていただいたじゃないですか。あの時、監督の僕が子供扱いされてるから、周りがみんな驚いてました(笑)。
江夏:最初は西武の春季キャンプだったか。坊やも最初は、目がクリクリして本当に可愛かったんだから。
工藤:最初はですか(笑)。僕は鮮明に覚えてますよ。初めてお会いした時、「おお、あれが江夏さんかぁ」とオーラが半端じゃなかったです。キャンプでは江夏さんの起床係でしたから。部屋のドアをノックしてもなかなか起きてこないので「江夏さん、起床です」と大声で叫ぶと「わかっとるわ」とドアが開いて、コーヒーをお渡ししてました。
江夏:覚えてへんけど、アリゾナのメサやったな。何にもないとこやった。