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「処方薬」を自分で選ぶ時代に知っておきたい鎮痛薬の最新知識

 今、病院で処方薬を指名する人が増えている。医師へのアンケート調査によると、9割以上が「患者から薬のリクエストを受けている」と回答している。そのうち、「患者の要望どおりに薬を処方している」と答えた医師は7割(医師コミュニティサイト『MedPeer』調べ)。今や患者の意のままに薬が処方されるようになってきている。

「その薬のことがよくわかったうえで指名するのなら問題ありませんが、気をつけなければならないのが薬の副作用。とくに今、処方量が増えている鎮痛薬には、胃腸障害などの副作用がある薬もあるため、注意が必要です」。こう語るのは、鎮痛剤の副作用や胃腸障害についての研究を手がける、東京女子医科大学消火器病センター消化器内視鏡科教授の中村真一医師。

 最近はひとり当たりの鎮痛剤の服用量も増加傾向にあるという。振り返れば、自分に合った鎮痛剤を求めて、さ迷ったあげく、市販の鎮痛剤を何種類も常備して頭痛、歯痛、肩・腰・膝痛など痛みを抑える手軽な手段として利用している人も少なくないだろう。

 自分にあう鎮痛剤を求めてさまようような状態になっている人は、何を求めているのか。たとえば、医療サイトのアンケート調査では「鎮痛剤に求めるものは?」に対し、“早く効く”に次いで、多かったのが“胃にやさしい”となっている。

 一方で、鎮痛薬を処方された患者の4人にひとりが「鎮痛剤を飲んで胃が痛くなった」という経験がある(医療サイト『QLife』調べ)。そんな中、『セレコキシブ』などのCOX-2を選択的に阻害する新たな鎮痛薬は胃腸障害のリスクが低いという研究結果が発表され、注目を集めている。

「鎮痛薬で一番多い副作用は胃腸障害です。胃腸が弱い人には、鎮痛薬の副作用によって胃粘膜の血流が悪くなって、胃炎を起こしたり、ひどい場合には、潰瘍を引き起こすケースもあるため、従来型の鎮痛薬は容量を守り、胃薬との併用がおすすめです。

 鎮痛薬による胃・十二指腸潰瘍の発生頻度を調べてみたところ、COX-2選択的阻害薬は、従来の鎮痛薬に比べて潰瘍の発生頻度が格段に低いことがわかりました。この薬を14日間投与した後の胃・十二指腸潰瘍の発生頻度は、COX-2選択的阻害薬群が1.4%に対し、従来型の鎮痛薬は27.6%。潰瘍のリスクが約20倍以上下がるというわけです」

 この新たな鎮痛薬が胃にやさしい理由は、痛みの原因物質といわれるプロスタグランジン(以下PG)が関与しているという。

「PGには、痛みを発生させる働きと、胃の粘膜を保護する作用を併せ持っています。従来の鎮痛剤は、この二つの働きを丸ごと抑えて痛みを取り除きますが、同時に胃を保護する働きも抑えられてしまうため、胃の痛みなどの副作用があらわれることがあります。

 一方、新たな鎮痛薬は、痛みの原因物質だけに作用し、胃を保護する働きは阻害しないため、潰瘍リスクが非常に低いんです。

 ストレスなどによるいわゆる胃潰瘍が減っているのに対し、薬剤に起因する潰瘍は増えています。こうした新しいタイプの薬によって、胃腸障害が減ってくる可能性があると考えています。現在、関節リウマチや変形性関節炎以外にも、保険適用が拡大されています」(中村さん)

 職場環境が変わるなどストレスが増える新年度、胃にやさしい薬を選ぶのが賢い選択。副作用を知ったうえで、自分にあった薬を医師に伝えることが大切だ。

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