ライフ

子供が働かなくても一生食べていけるプラン作成をFPが提唱

 働かない、働けない子供をかかえた親たちは不安を抱えている。過去を振り返っては、自分が間違っていたのではと責め、焦る気持ちはつのるばかりだ。

 この問題は、時間が経過すればするほど事態が悪化し、親はますます追い込まれていく。定年を迎え、年金しか収入がなくなった時に、働かない子供をどう養うのか。すでに年金暮らしの親としては、自分が先立った後の子供の行く末が心配事になる。

 結婚も就職もしない娘を持つ、一度は就職した娘に厳しくしすぎて心療内科に通うことになってしまったDさんが、沈痛な表情でこう語る。

「親の責任として、可能なかぎり娘の面倒を見る覚悟はできている。ただ、私にも慢性糖尿病という持病があり、無理がきく体じゃない。常に“もし自分が倒れたら、どうなるのか”ということを考えています。もしものことがあったら私の生命保険で食っていってもらうしかないのか」

 親だけでなく、兄弟も不安を抱えている。

「35になってもまったく働こうとしない弟がいる。いまは両親が面倒を見ているが、いなくなったらどうなってしまうのか。最近、妻が『いずれ両親だけでなく、あなたの弟の面倒も見なければいけなくなるのでは』とこぼすようになった」(40歳・公務員)

『親亡き後の子はどう生きていくか――』と題したセミナーで講師を務める、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏は、働かない子供を持つ親からの相談を受け始めて16年になる。

「最初の頃は、どうしたら仕事をさせられるかという相談が多かったが、今は自分が死んだ後、ひとりになった子供はどうやって生きていくのかという質問が増えています。とくに目立つのは、40歳以上の子を持つ親からの相談です」(畠中氏)

 畠中氏が提唱するのは、子供がまったく働かなくても、親の資産と子供の公的年金を活用し、子供が一生食べていける方法を探す「サバイバル・プラン」の作成だ。

「親が子供が定職に就くことを諦めきれずにいると、サバイバル・プランは立てられません。でも、子供が40歳になって定職に就いていないのなら、プランを立てるべき。もし後になって、アルバイトなどで収入を得られるようになれば、“上方修正”すればいいんです」(畠中氏)

※週刊ポスト2013年6月28日号

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
青山京子はスキー雑誌の「ミス・スキーガール」でモデルデビュー。1980年3月に出演した『今週のギャル』コーナーで強烈なインパクトを残し、2か月後にカバーガールに採用された
松岡きっこ&小栗香織が語る伝説の深夜番組『11PM』 「新右翼の論客の登場でスタジオに緊張感が充満」「子供が見ちゃいけない番組と思っていた」
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン