テレビの劣化が止まらない。それを最も如実に表わしているのが「夕方のニュース」だ。「ニュース」とは名ばかりで、放送時間に占めるニュースの割合は約半分。残りは「芸能」と「格安グルメ」「動物」などの企画モノがほとんどだ。
この時間帯の勢力図が激変している。長らく視聴率トップに君臨してきた『スーパーニュース』(フジテレビ系)が3位に転落し、『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日系)と、『news everY.』(日本テレビ系)が首位を争っている。
『スーパーニュース』のスタッフがいう。
「メインターゲットの30~40代の主婦は4時台の『相棒』再放送の視聴者層と重なるため、テレ朝にチャンネルを“合わせっぱなし”にされてしまう。さらに昨年末に芸能コーナーを廃止しニュースの時間を増やして硬派路線に転じたことも裏目に出たようです。
少しでも裏番組より優位に立とうと、4月から放送時間を約20分早めて4時30分スタートにした。ですが効果は上がらず、いつの間にか芸能コーナーも復活させる迷走ぶりです」
そこで第2の改革案として浮上しているのが、あの大物キャスターの交代案だ。フジテレビ社員がいう。
「実は、安藤優子さんが夏休みで番組を休んでも、視聴率に全く変化がなかった。それで一部スタッフからは“そろそろ潮時だろ”との声が出始めている。ウチの番組が局の視聴率低迷の元凶ともいわれるだけに大粛清があることは確実です」
本来、視聴率回復のために努力すべきは「番組の質」を上げることだろう。硬派路線への回帰にしても、単にニュースの時間を増やすだけでなくクオリティを高めることが重要なはずだ。しかしテレビマンたちは「放送時間」や「番組の顔を代える」といった小手先の手法に頼ってしまう。
かくして今日も夕方のテレビでは、「芸能」「動物」「グルメ」が繰り返される。
※週刊ポスト2013年9月20・27日号