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皇太子ご夫妻訪問で相馬市の仮設住宅にようやく舗装工事完成

 9月22日、皇太子ご夫妻は東日本大震災の被災地である福島県を日帰りで訪問された。原発事故の影響で双葉郡双葉町から避難している人々が暮らす、福島県郡山市にある喜久田町早稲原応急仮設住宅だった。

 10日前の9月12日のこと。仮設住宅の郵便ボックスに、次のようなビラが投函された。

<舗装工事のお知らせ 9/13(金)・9/14(土)の両日に砂利道の舗装工事を行います(中略)ご迷惑をお掛け致しますが、何卒よろしくお願いいたします>

 それは仮設住宅前の砂利道の舗装工事のお知らせだった。道路が整備されるのは、住民にとって朗報なはずだが、なぜだか、素直に喜びを表すわけでもないのだ。

「実は双葉町から仮設住宅に移り住み始めた2年前から、住民側は“砂利道をアスファルトにしてほしい”と要望を出し続けていました。やっぱり雨の日とかはぬかるみになりますし、大変なんです。でも、いつも回答は“予算がない”ということでした。

 ずっと後回しにされてきたのに、皇太子ご夫妻が来訪される直前になって、いきなり舗装工事を始めるというのは…。もちろん整備してもらえるのはありがたいことです。でも、どこか腑に落ちない思いもあるんです」(仮設住宅関係者)

“お知らせ”通り、工事は9月13、14日の2日間、急ピッチで行われた。

 この工事によって、仮設住宅の目の前の約130mの砂利道がアスファルトに舗装された。この整備された道路は、皇太子ご夫妻が仮設住宅を訪問された際、お車で通られることになっている部分だった。

 郡山市内の工事関係者が、こう明かす。

「工事を請け負った業者は、9月10日前後に福島県から突然、依頼が入ったそうです。表向きは“冬に雪が積もると、砂利のままだと水はけが悪いから”という理由だったみたいですが、それは2年前から、ずっとそうですからね…。やはり業者側も、タイミング的に“皇族がいらっしゃるからだ”と思っているようです」

 福島県土木部・建築住宅課に工事までの経緯を聞いた。

「8月16日、郡山市から“仮設住民のかたから仮設前の砂利道を舗装してほしいと要望があったが、市としては予算上対応できないので、県で対応できないか?”といった話がありました。そこで検討した上で、9月初旬に業者に発注をしたというのが、今回の舗装工事の経緯となります」

 住民側は、これまでも道路舗装を要望していたが「予算がない」と先延ばしにされていた。今回、工事が行われたのは「皇太子ご夫妻が訪問されるからだ」という声まで上がっているが?

「そういうことではないと思います。工事の決定、発注は皇太子ご夫妻の訪問が決まる前のことですから」(前出・福島県土木部)

 と、あくまで工事と皇太子ご夫妻の訪問は無関係であると主張する。しかし、ある県関係者は声を潜めて話す。

「行政としては、多目的ホールの『ビッグパレットふくしま』などの環境整備などが最優先事項でした。ですから、今回の砂利道の舗装などは、それらが終わってから順次、取りかかる予定だったんです。だが、皇太子ご夫妻が訪問されるということで、あの仮設住宅前の舗装が最優先事項に上がったんですよ」

 ちなみに今回の工事にかかった経費は、

「概算ですが、材料、手間代、機械のリース、運搬車両などの経費を含め、300万円前後と把握しています」(前出・福島県土木部)

※女性セブン2013年10月10日号

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