小泉政権時代に打ち出された「年金100年安心プラン」のシナリオが10年ももたずに崩壊の危機を迎えている。
「年金博士」の愛称で多数の著者がある社会保険労務士の北村庄吾氏の試算では、50歳以下の世代は保険料より受給額が少ない「年金払い損」になる。さらに、積立金が枯渇し、1人で1人を支える場合の現役世代の負担額を試算すると、一般的なサラリーマンの年金保険料負担は実に月給の30%近くまで跳ね上がるという。
「現在と同様、月給30万円のサラリーマン世帯(夫と妻)が65歳から月額20万円の年金を受け取る制度を維持するためには、基礎年金(6万6000円)の国庫負担分以外をすべて保険料でまかなう必要があります。つまり、将来受け取る年金月額(20万円)-(マイナス)基礎年金の国庫負担分(3万3000円)=16万7000円。これを個人と企業で折半すると保険料の個人負担額は8万3500円となり、給与の27.8%に相当します」(北村氏)
どんな計算をしても2030年過ぎには年金破綻が現実となる。
「小泉政権時代に基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げましたが、2025年過ぎには団塊世代が後期高齢者となり、医療費負担も激増する。膨大な財政赤字の中で、年金の国庫負担が覚束なくなることは間違いありません」(経営コンサルタント・小宮一慶氏)
※SAPIO2013年10月号