新浪剛史サントリー元会長(時事通信フォト)
9月3日に行われた経済同友会定例会見で代表幹事の新浪剛史氏が行った、自らの違法サプリ購入疑惑についての説明は、潔白を主張していることは伝わるものの、「聞いている」「おそらく」という言葉が印象に残る、これまでの歯切れがよい発信とは異なるものだった。情報番組で生中継されるほど国民の関心を集めた企業トップの辞任は、市井の人々にどのように受け取られたのか。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏がレポートする。
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「新浪さんね、私はいまも許してませんよ。45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかりしていた印象しかない」
大手商社傘下の物流企業に勤める40代の男性会社員は「許してません」と話す。新浪さんとはサントリーホールディングス(以下、サントリー)代表取締役元会長の新浪剛史氏(1959年生まれ、66歳)のことだ。
別の情報通信企業の代理店に契約社員として勤める40代女性も「印象はよくない」としてこう話す。
「所得制限の撤廃に猛反対していた人ですよね、給付を増やすことすら反対していた。印象? 最悪です」
私の元教え子の20代男性、大学院生の意見はこうだ。
「健康保険証の廃止を必ずやるべきとか、マイナンバーを『日本の文化』とかわけわかんないこと言ってた人ですよね、サントリーの人なのに生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていたイメージです。不買運動とかネットでやってましたけど、当然だと思います」
印刷会社に勤める30代女性はさらに辛辣だった。「ニイナミ」という名前が出た途端に顔をしかめる。
「(旧ジャニーズ問題のときに)ジャニーズのタレントを使うことは子どもの虐待に加担するから使うなとか、何もしていない(旧ジャニーズの)タレントまで使うなと言った人ですよね。10代20代のメンバーに何の罪があるというのですか、印象? 悪いとかでなく大嫌いです。(いまとなっては)自分はどうなんだ、ですよ」