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単身者や小世帯も大容量・省スペースが冷蔵庫選びの新主流派

 昨今は冷蔵庫を購入する場合、単身や小世帯でも、より大きな容量を選ぶという人が増加している。家電コンシェルジュの神原サリーさんも「買い物の仕方が変わってきて、大容量の冷蔵庫が当たり前になりつつあります」と、日本の家庭にも、大きな冷蔵庫が増えている理由を解説する。

「5~6年前には500リットルの冷蔵庫は日本の家には大きすぎると思われていましたが、最近では珍しくありません。2~3人の小世帯でも450リットルくらいの冷蔵庫を置いていますし、単身者でも400リットル近い冷蔵庫を買う人も。買い物の仕方が大きく変わった影響でしょう。週末に一週間分の食料品をまとめ買いし、こだわりの一品をお取り寄せ、といったように一度にたくさんの食料品を買って保存するようになりました。

 食料の保存という点で、特に冷凍庫は重視されています。少数派ではありますが、冷蔵庫を買い替えずに100リットルくらいの冷凍庫を買い足す需要があるくらい、冷凍スペースを増やしたいと考える人は多いのです」(神原さん)

 多くの食料品を保存する場合、冷凍機能は不可欠だ。ひと昔前は、カレーを冷凍する場合はジャガイモを取り除くなど、ホームフリージングにはコツや下処理が必要だった。ところが現在の冷蔵庫では、独特のテクニックを駆使しなくても、美味しく冷凍と解凍ができる。

「例えば、三菱電機の冷蔵庫では過冷却の技術を使った『切れちゃう瞬冷凍』で温度帯をコントロールしています。食材を解凍なしで切れて、すぐ調理に使えるので一回分ごとに小分けしなくても大丈夫。また東芝では、料理を熱いまま凍らせる『熱もの冷凍』や下処理がいらない『野菜そのまま冷凍』という機能もあります。どのメーカーも、買ってきた食料品を簡単に、しかも美味しい状態のまま保存しやすい新技術によって進化しています」(神原さん)

 キッチン家電の買い替えで悩ましいのは、古い家電を置いていた同じ場所に収まるもの、という条件があること。そう考えると、大きな冷蔵庫が欲しくても、収まらないのでは? という不安がつきまとう。ところが最近では大容量でありながら、省スペースに成功した冷蔵庫が続々と登場している。

 大手国内メーカー各社の冷蔵庫で、1番大きな容量と幅を比較してみると、最も容量効率が高いのは三菱電機が705リットルで幅80cm(奥行73.8cm)、次いで東芝の618リットルで幅75cm(奥行73.5cm)、パナソニックが608リットルで幅74cm(奥行73.3cm)、日立が670リットルで幅82.5cm(奥行72.8cm)となっており、設置床面積の比率でも同様の順番となった。これらはいずれも、ここ数年間でスリム化。各社ともに断熱材の工夫に加え、コンプレッサーの配置や小型化といった、開発面の成果が反映されている。

 また最もスリム化を果たした三菱電機は、ユーザーニーズのコンセプトが特徴的だ。

 同社はさまざまなデータを背景に、大きな冷蔵庫が求められているのは、食卓の環境が、ヒマなし、ムダなし、おもてなしの「三なし」化が進んで行くと予測。この「三なし」化とは、「共働き世帯数は増加し続けており、以前のようにこまめに買い物に出かけて、調理に時間をかけるのが難しい『ヒマなし』世帯が増えている。そして、消費税増税をきっかけに節約意識が高まり『ムダなし』の生活を心がける人が多い。だが、家族や親せき、友人とのつながりを大切にし、ホームパーティを時には催し、時には招かれる『おもてなし』の機会は増えているので、工夫を凝らした料理を提供したいニーズは高まっている」といった内容だ。

 見た目はスリムで中は大容量の冷蔵庫に、急なおもてなしでも、料理をサッと出せる食料品のストックがある生活が、大家族に限らず単身者にも求められている――というのは、ユーザーが求めるライフスタイルのひとつとして、イメージしやすい。では、こうしたトレンドの中で、どういった基準で冷蔵庫を選ぶのが「正解」なのだろうか?

「今、置けるスペースで、できるだけの予算で、一番容量が大きいものを買うのが間違いのない買い方。家族の人数が減っても、保存に便利な大容量冷蔵庫は必要になります。これから何年も使っていくことを考えると、満足度が高い買い物になりますよ」(神原さん)

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