韓国・仁川で開催中のアジア競技大会。バドミントン男子団体戦準々決勝の日本対韓国で起きた「風」問題。
日本のエース・田児賢一が臨んだ第1試合のシングルス戦で怪現象は起きた。日本が第1ゲームを奪い、第2ゲームに入ったところで突然、田児に「逆風」が吹き始めたのだ。ペースを乱した田児は第2ゲームを落とした。さらにコートチェンジして第3ゲームに臨むと、なぜか今度は風向きが逆になり、結局、セットカウント1-2で逆転負け。チームも敗れる波乱となった。
「日本代表の舛田圭太コーチは第2ゲーム途中で逆風に気付いて審判本部に疑問を呈しましたが、退けられた。田児は試合後に『途中で風が変わるなんて、他の国じゃあり得ない』と怒り心頭でした」(現地で取材したスポーツ紙記者)
この時、会場内では準々決勝の4試合が同時に行なわれていたが、日本だけでなく中国、インドネシア、マレーシアからも同様に審判に「風」への疑問が呈されていた。この4か国は5月に行なわれたトマス杯の準決勝に残った「世界のベスト4」である(日本が優勝)。それが揃っておかしいと感じたのだから、日本チームが単に負け惜しみをいっているのではないことがよくわかる。
元バドミントン日本代表の松田友美氏が解説する。
「試合会場の空調によっては多少の風が吹くことはあります。シャトルの勢いに影響の出る強さだと試合前に判断したら、追い風の時はアウトを気にする、コートチェンジしたら逆に強く打とう、などと計算するのが一流選手です。それだけに、今回のように試合途中でいきなり風が吹き始めたり、コートチェンジ後に風向きが変わったりしたら相当動揺するでしょう。
田児選手とは一緒に全国を転戦したこともありますが、負けん気は強いけれど感情を表に出さないタイプです。気持ちをコントロールできる選手なのに、試合後に怒りを露わにしていましたからよほどのことだったはずです」
※週刊ポスト2014年10月10日号