芸能

滝田栄 修行道場禅師が淹れた煎茶の味で家康の凄さに気づく

 インドで3年にわたる禅修行をし、今では月に一度、座禅とインドの乳粥をいただく会を開いている役者の滝田栄は、今から約30年前にも禅宗の修行道場に住み込んだことがある。徳川家康を演じるための役作りが目的だった修行道場での当時の経験について滝田が語る言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる連載『役者は言葉でてきている』からお届けする。

 * * *
 滝田栄は1983年、NHK大河ドラマ『徳川家康』に主演、戦国時代最後の勝利者となった家康の青年期から晩年までの生涯を演じ切っている。

「大河ドラマはそれまで何本か出てきましたけど、目一杯やれるので参加できるだけで嬉しかった。ただ、主役は歌舞伎の方や劇団トップの方とか血統書付の方がやるもので、僕には縁のない世界だと思っていました。

『内海の輪』というドラマのロケ先に電話がかかってきたんです。『大河の主役をやってほしい。徳川家康です』と。最初はからかわれていると思いました。

 ところが、全精魂すべて傾けてやろうと役作りに入ったのですが、家康という人物が全然分からないんです。その頃は、台本を読めば全てを理解できる、何でも演じられるコンピュータが僕の中に完成されていた。ですから他の役は分かるんです。信長も秀吉も義元も。彼らを演じているエネルギーの質まで、全部見えた。でも、肝心の家康が分からない。『い』の字も分からないんです。かっこ悪くて無様で──」

 そこで滝田は、家康が今川の人質となって暮らしていた静岡の臨済寺を訪ねようと思い立つ。

「『そちらで役作りをさせていただけないでしょうか』と電話したら『ここは禅宗の和尚を養成する、日本でも特に厳しい道場です。修行僧でも逃げ出す寺ですからご遠慮ください』と言われたんです。その時に頭に電気がつきました。『これは本物だ』と。それで改めてお願いしたんです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン