11月18日、米国では広い範囲で季節外れの寒波が猛威をふるった。国土の半分以上が雪に覆われ、米国東部・ニューヨーク州の一部地域では180cm近い雪が降り積もった。そしてなんと「常夏のハワイ」を含めた50すべての州で最低気温が氷点下を記録。
雪で車の中に閉じ込められたり、除雪作業中に心臓発作を発症したりするなど7人の死者を出した。また、妊婦を乗せた救急車が大雪による渋滞で病院にたどり着けず消防署で緊急出産したケースもあったという。
気象予報士の増田雅昭さんは「今回の米国の寒波は、北極圏に溜まっていた寒気が流れ出したことが原因」だと説明する。
「北極圏の寒い空気は2~3週間ごとに蓄積と放出を繰り返します。そして放出された寒波は集中的にどこかにドドッとなだれ込む。どこになだれ込むか、冬になる前からは予測できません。また、その規模を予測することは難しい。つまり米国を襲った強さの寒波が日本に来てもおかしくない。『今年は暖冬だから』と思って寒さ慣れしていないところに寒波がやってくると米国のように影響が大きくなるでしょう」(増田さん)
想定外の寒波が日本を襲ったら、どんな被害が生じるのだろうか。過去には大雪で100人以上の死者・行方不明者が出たことが何度もある。レスキューナウ危機管理情報センターの水上崇さんは、「湿った雪の重みと吹きつける強風で電線が切れて、停電や通信障害が起こる危険がある」と言う。
「気温が0℃前後になると水分を多く含む『ぼたん雪』が降ります。その重い雪は電線に大きな負担をかけるため、重みに耐え切れずに電線が切れて停電することが多い。また、雪で重くなった電線が強風によって大きく振動した場合、電線同士が接触してショートの危険性が高まります」
大雪で列島が真っ白になった「ホワイトアウト」のあとに停電によって暗闇に覆われる「ブラックアウト」が待ち受けているのである。
※女性セブン2014年12月18日号