国内

メディアの中心はいまもテレビ ネットはそれを補完するもの

 テレビはもうオワコンで誰も見ず、ネットが中心の時代になった。少し前まで、そのようにメディア論が語られることもあったが、果たしてそうだろうか? コラムニストの亀和田武氏が、メディアの中心はいまだテレビにあり、ネットはそれを補完するものである現状について解説した。

 * * *
 テレビに明日はあるか?

 大丈夫、明日はある。明後日もある。一年後、二年後も、テレビはメディアの中軸として機能しているはずだ。しかし五年後、十年後まで現在のパワーを有しているかとなると、これは判らない。

 このままネットなど新しいメディアに取って替わられるかと思われていたテレビに曙光(しょこう)が射したのは、一昨年の朝ドラマ『あまちゃん』だった。大河ドラマと並び、旧態依然たるテレビの象徴と思われていたNHKの朝ドラマが、なんと国民的関心事のトップに躍り出た。

 活字メディアはもちろん、ネットでも、人びとは『あまちゃん』を語って飽きることがなかった。視聴者の主流はシニア層で、やがては消えていく番組枠。そう思われていた“朝の連続テレビ小説”が、独創的なクリエイター、そして清新なヒロインによって一気に蘇生した。

 若い熱心な視聴者が大量に参入し、これまで朝ドラを支えたシニア層も、新しくファンキーな笑いを、好意的に受け容れた。NHKの朝ドラが世代や職種、性差などのギャップを埋めるツールになる日が到来するとは。

 ネットの住民が熱くドラマを語るのも、目を惹いた。門外漢の言葉と聞き流してほしいが、やはりメディアの中心はいまなおテレビで、ネットはそれを補完するものだ。若手の社会学者が、ネットそれ自体からスターやブームは生まれませんよとクールに語っていた。いま、こんな現象がネットでは大注目されています。そんなふうに活字やテレビが大々的に報じて、初めて認知されるのだと。

※SAPIO2015年2月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン