国内

小保方晴子氏「ES細胞窃盗」告発でSTAP捏造犯は解明されるか

「嘘つきは泥棒の始まり」というが、今回は泥棒疑惑が嘘を解明する糸口になるかもしれない。理化学研究所の小保方晴子・元ユニットリーダーが1月26日、窃盗容疑で兵庫県警に告発状を提出された。

 すでに理研調査委員会の報告書によって小保方氏のSTAP細胞が既存のES細胞だったことが明らかになっている。告発人で理研OBの石川智久・元上級研究員がいう。

「小保方さんはSTAP論文が疑われた直後から、実験室にあった細胞サンプルをこっそり処分し始めました。怪しいと感じた理研の研究者有志がサンプルを保全して独自に調査したところ、小保方さんの共同研究者だった若山照彦さん(現・山梨大教授)の研究室から紛失していたES細胞が見つかった。そこで、私は彼女がES細胞を窃盗したと推定し、刑事告発に踏み切りました。日本の科学の国際的信頼を回復するためにも絶対にうやむやにしてはいけない」

 小保方氏は2011年4月から2013年2月まで若山研の客員研究員として自由に研究室に出入りし、ES細胞を手にできる立場にあったという。

「小保方さんの研究室から見つかったES細胞は、若山研にいた中国人留学生が作成、凍結しておいたもの。若山研が理研から山梨大学に引っ越したときに紛失が発覚し、留学生は研究を継続できなくなったそうです」(石川氏)

 それ以外にも、石川氏は「小保方研究室からはそれ以外にもES細胞のチューブが入った『若山研totalRNA』と書かれた小さなボックスなども見つかった」との証言も理研関係者から得ているという。

 調査委員会は昨年12月、「小保方氏は持ち出しを否定しており、ES細胞混入の行為者はわからない」として捏造問題を幕引きしたが、若山研のスタッフからも聞き取り調査を行なっているのだから、「小保方氏に窃盗の疑いがある」という証言を得ていたはずだ。

 この問題を取材するジャーナリストの津田哲也氏がいう。

「調査委員会は研究論文の精査が建前で、犯罪を暴くことが目的ではないと責任逃れするかもしれませんが、理研はこの騒動で科学への信頼を損なった責任がある。研究に費やされた税金の問題も残る。今後捜査があれば、調査内容を提供するなど全面協力すべきです」

 小保方氏の代理人・三木秀夫弁護士は、

「告発状が受理されるかどうかも不明だが、小保方氏がES細胞を窃盗したという事実はなく、その動機もない。伝え聞く告発状の内容は杜撰で事実に大きく反している」

 と真っ向から反論するが、少なくとも「“STAP細胞”を作成するため」という動機は成立し得る。今のままの灰色決着が許されないことだけは確かだ。

※週刊ポスト2月13日号

関連記事

トピックス

お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン
新キャストとして登場して存在感を放つ妻夫木聡(時事通信フォト)
『あんぱん』で朝ドラ初出演・妻夫木聡は今田美桜の“兄貴分” 宝くじCMから始まった絆、プライベートで食事も
週刊ポスト
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
「松井監督」が意外なほど早く実現する可能性が浮上
【長嶋茂雄さんとの約束が果たされる日】「巨人・松井秀喜監督」早期実現の可能性 渡邉恒雄氏逝去、背番号55が空席…整いつつある状況
週刊ポスト
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン