ビジネス

わずかな知識と準備が運命変える 老後を守る「2%の法則」

 4月から「年金カット」が始まり、本格的な「冬の老後」がやってくる。今後、退職金は減らされる可能性が高く、60歳時点での老後資金1500万円を月7万円ずつ取り崩せば、77歳で底をつくとのシミュレーションもできる。そこで、最悪の事態を避けるために必要なのが運用である。

 経験のない多くの高齢者にとっては“わかってはいるけど踏み出せない”というのが本音だろうが、必要なことであるとともに、それほど大それた目標を掲げなくてもよい。フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史・所長が語る。

「今後年金が減らされていくことが確実な中で、銀行に預けておくだけでは生活を守ることはできず、逆に破綻のリスクを高めます。老後資金や退職金を運用し、資産を長く維持することを考えるべき時代になったといえます。

 なにも一生、頭を悩ます必要はないのです。投資には情報収集してそれを分析し、冷静に判断する能力が必要なことから、健康寿命といわれる70代前半までを目安に運用すればいいでしょう」

 いくら短い期間でも、不要なリスクは避けねばならない。特に「今年は日経平均株価2万円」といった一見景気のいい風説に乗せられて一攫千金を目指すような投資は禁物だ。

 メディアが喧伝する「アベノミクス効果で株価が堅調」というのも嘘で、日本の株価は世界の市況、とりわけニューヨーク市場の動向に左右されているに過ぎない。

 2月上旬までの100営業日を見ると、日経平均株価が100円以上動いた日の74%で、前営業日のニューヨークダウ平均株価と連動して上下している。ファイナンシャル・プランナーでファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏はこう語る。

「老後資金の運用は大きなリスクをとってはいけません。運用としてはつまらなくても、『年利2%』といった低いリターンで、その分リスクも低い運用を心がけるべきです」

 その「2%」が大きな差を生む。老後資金が1500万円で月7万円ずつ取り崩した場合は77歳で資金が尽きる。が、75歳まで年利2%で運用すれば、81歳までもち、男性の平均寿命を超える。

 取り崩し額を月6万円に節約した上で同様に年利2%で運用すれば85歳までもち、女性の平均寿命(86.6歳)近くまで生活することが可能だ。

 老後資金が2500万円あるケースなら、年利2%で運用すれば97歳までもつから、“長生きリスク”はほぼ考えなくてよくなる。

※週刊ポスト2015年2月20日号

関連記事

トピックス

逮捕された草間リチャード。右は現場
《「下半身を出している人がいます」と110番》Aぇ!group草間容疑者の逮捕現場は新宿の飲み屋ストリート、朝5時半でも通行する人は多く…配信番組が急遽ストップでファンから心配の声
NEWSポストセブン
地区シリーズ・フィリーズ戦での先発が予定されている大谷翔平(地区シリーズ・フィリーズ戦での先発が予定されている大谷翔平(写真/AP/アフロ)
《世界一連覇なるか》ブルペン陣に不安が残るドジャースの頼みは「大谷翔平の先発&クローザー登板」か フィリーズ戦で先発予定も「故障のリスクを冒してでもクローザーで投げさせたい」との指摘
NEWSポストセブン
中国の名門・清華大学に在籍する
「あまりにも美しい女性は生配信に向かない!」中国の名門・清華大の美女インフルエンサーが突然の更新ストップ【SNSを巡る親子の対立で物議】
NEWSポストセブン
米・女優のダコタ・ジョンソン(35)(時事通信フォト)
《”ネイキッドドレス”で大胆な肌露出》米・お騒がせセレブが映画祭で“ほぼ裸”ファッションを披露、専門家が解説「セレブの勲章ともいえるファッション。ただし節度も必要」
NEWSポストセブン
香川県を訪問された秋篠宮妃紀子さまと次女・佳子さま(2025年10月2日、撮影/JMPA)
《手話動画が話題に》「手話できる佳子さまカッコいい」“真逆”のカラーをお召しになった紀子さまとさりげなく共通カラーを入れた高度なコーディネート
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
《クロスボウ殺人》母、祖母、弟が次々と殺され…唯一生き残った叔母は矢が貫通「息子は、撃ち殺した母をリビングに引きずった」【野津英滉被告・公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《本人が最も恐れていた事態に…》「タダで行為できます」金髪美女インフルエンサー(26)、デリバリー注文のバーガー店が滞在先を暴露「軽視できません」
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”を繰り返していた前橋市・小川晶市長(時事通信フォト)
小川市長”ラブホ会議問題”の前橋市民から出る嘆き 「高崎の親戚からすんげえ笑われた」「男と女でどんな会議なんかい、ほんと恥ずかし」
NEWSポストセブン
「愛馬の日」のイベントに参加された愛子さま(2025年9月、東京・世田谷区。撮影/JMPA)
悠仁さまの成年式を機に海外メディアが相次いで“男性しか継承できない”日本の現行制度を不可解だと指摘 皇位継承から除外されている愛子さまの存在もクローズアップ 
女性セブン
自党内の混乱はおさまりそうにない(時事通信フォト)
“女安倍”高市氏に防衛省制服組が“ただならぬ警戒感”「台湾有事が現実に」「独自の国家観をもつ軍事フリークは面倒」、進次郎氏を推す意外な声も「実力不足の方がいい」
NEWSポストセブン
たばこ祭りに参加した真矢と妻の石黒彩
《杖と車椅子で10メートルの距離を慎重に…》脳腫瘍のLUNA SEA・真矢が元モー娘。の妻と夫婦で地元祭りで“集合写真”に込めた想い
NEWSポストセブン
浅香光代さんの稽古場に異変が…
《浅香光代さんの浅草豪邸から内縁夫(91)が姿を消して…》“ミッチー・サッチー騒動”発端となった稽古場が「オフィスルーム」に様変わりしていた
NEWSポストセブン