海外ではシニア層もスマホが主流だが、日本では約半数がガラケーユーザーだ。NTTドコモのiモードが1999年に誕生していたおかげでガラケーのままでも不自由なかった日本の先進性ゆえだったが、それによってメーカーは海外に後れをとった。
スマホの世界シェアは米アップルと韓国サムスンだけで40%に達する。さらにはHTCや小米など台湾・中国の格安メーカーの台頭に日本勢は押され、パナソニックやNECは個人向けスマホ事業から撤退した。
だが、「ガラパゴス」で培った国内の技術は今も世界一だ。コンビニのレジなどで携帯電話をかざすだけで決済できる「おサイフケータイ」や「防水機能」などの他、「ワンセグ・フルセグ」、指をかざしてロックを解除できる「指紋認証」などは、日本のガラケーが世界に先駆け開発・搭載した機能であり、それらを日本のように使いこなしている国やメーカーは今もないといってもいい。
たとえば、まるでガラケーのようで機能はスマホ並みの端末「AQUOS K」、通称ガラホにも搭載されている防水機能は日本メーカーでは当たり前だが、iPhoneは最新の6でもいまだ導入されていない。
さらに、何万回押しても壊れないボタンや、二つ折りの機構は、チップとパネルを調達しスマホを組み立てているだけの海外メーカーには真似できない独自技術だ。もちろん、ガラホにはテザリング(※注)などのスマホ機能も搭載されている。スマホとガラケーの両方の最先端技術が詰まっているのだ。「ガラホ」が日本のみならず世界に広がればメイド・イン・ジャパンの携帯が復活する可能性はある。
【※注/スマホ(ガラホ)を“親機”として利用し、別の端末(タブレットやパソコン、ゲーム機など)をインターネットに接続できるようにする技術】
シャープはガラホの海外展開について、「検討する可能性はある」(広報部)と語る。
ガラパゴス技術が生んだ新ジャンルは、日本が後れをとった世界のモバイル市場地図を大きく塗り替える可能性を秘めている。
※週刊ポスト2015年3月27日号